連載コラム 進化を続けるICT利活用の成功校 田園調布学園の実際 -ICT教育の取り組み- Chromebook の活用 

第13回
「中等部・高等部」におけるICTの活用
~行事(文化祭②)編~

LINEPOCKETこのエントリーをはてなブックマークに追加

第1回はこちら

皆さまこんにちは、村山です。
今回もコラムをご覧くださり、どうもありがとうございます。

前回のコラムから引き続き、本校におけるICT活用事例(行事「文化祭」編)をご紹介しています。今回は、生徒たちの発案で企画・実現された2つ目の事例です。

【事例2】生徒によるオンラインキャンパスツアー

これは、コロナショック直後に実施した2020年の文化祭でのお話です。 本校ではコロナショック以前、入学志望者である受験生やその保護者の方々に、学校や日常生活の様子を知っていただくため、学校説明会や生徒によるキャンパスツアー、授業や部活動の見学などを行っていました。しかし、新型コロナウイルス感染症拡大を受け、学校に足を運んで直接見学することが難しくなりました(教員によるオンライン説明会は継続して実施していましたが、学校の賑やかさや生徒の日常の様子を伝える機会は大幅に制限されました)。

こうした状況を受け、当時のメディア活用委員会(現:広報委員)の委員長が従来の対面形式のキャンパスツアーを「オンラインキャンパスツアー」にアレンジし、実施することを提案してきました。

メディア活用委員会について

2000年初頭から、ホームページの制作・運用や、タブレット端末等情報機器を活用した活動を行ってきた委員会です。

生徒の提案を受け実際にその年の文化祭で実施しました。オンラインキャンパスツアーは1日3回開催、各回50~60分ほどの時間で行いました。同じ時間帯に2つの配信チームが、それぞれ異なるルートで案内を行う形式を採用し、配信グループが干渉することのないよう工夫していました。ツアーに参加を希望された受験生や保護者の方々は、普段利用している予約サイトを通じて申し込み頂き、抽選で当選した方々にオンラインミーティング用のIDとパスワードをお知らせする形式をとりました。

用意した機器

オンラインキャンパスツアーを実施するにあたり、生徒たちからのリクエストに基づいて、1配信チームあたり以下のICT機器を情報科の備品から貸し出しました。

  1. ノートパソコン(1台)

    オンラインミーティングを主催し、配信拠点(PC教室)で使用

  2. スマートフォン(2台)

    映像配信用カメラ、マイクとして利用

  3. Chromebook(1台)

    視聴者視点での接続状況確認およびコメントチェック用

  4. スマートフォン用ジンバル(1台)

    スマートフォンの映像安定化装置

  5. ショットガンマイク(1台)

    音声送信用としてスマートフォンに接続

本校は中高一貫校であり、委員会活動は中学生と高校生が一緒に取り組みます。各学年・各クラスから最低1名ずつが委員として参加しており、約30名の委員が以下の役割を分担してチームを組み、シフト制で配信を担当しました。

配信チームの役割

  1. 案内役

    校内を歩きながらトークを進行、インタビューを担当

  2. カメラマン

    スマートフォンを装着したジンバルを用いて案内役の様子を撮影

  3. 配信画面・チャットチェック役

    コメント確認や進行をサポート

  4. 安全・導線確保役

    配信予定の企画ブースに先回りして調整・周囲の安全管理

実施後の感想と課題

実際に運用してみると、機材トラブルで配信開始が遅れたり、校舎内で一時インターネット接続が不安定になるなどの課題も発生しました。しかし、これらを自分たちの手で解決しながら進めたことが、生徒たちにとって良い経験となりました。

また、参加者からのアンケート結果も概ね好評で、生徒の主体性や一生懸命さが高く評価されました。一方で、「もっと展示物を詳しく見たい」や「配信映像を後日公開してほしい」といった改善要望も寄せられ、今後の課題として委員内で共有されています。

企画を紹介している様子

企画を紹介している様子

企画の担当者にインタビューをしているところ様子

企画の担当者にインタビューをしている様子

企画担当者の説明を配信している様子

企画担当者の説明を配信している様子

まとめ

このオンラインキャンパスツアーは、生徒自身で企画して行動したため、実施後には大きな達成感を得られたようです。技術的な課題や参加者からの要望も含めて、生徒たちにとって学びの多い機会となり、今後の企画運営に役立てられる貴重な経験となりました。

ICT機器や環境を充実させることは、生徒のアイデアを形にする重要な鍵となります。これからも、生徒たちが自由に挑戦できる環境を整えながら、より多くの学びの機会を提供していきたいと思います。

今回も最後までお読みいただきありがとうございました。 次回のコラムもよろしくお願いいたします。