GIGAスクール構想実現に向けて、小中学生では1人1台の学習用端末の整備がほぼ完了し、高校においても端末の整備が進められています。その際の端末選定において、価格の安価さや操作性の良さ、機能面から Google Chromebook が多くの学校で選ばれています。しかし、GIGAスクール構想への取り組みを始めるまで Windows OS のPCを使っていた学校もあり、そのようなケースでは既存の Word や Excel のファイルを Chromebook で開くことができるのかが気になるところです。
今記事では、Chromebook で Microsoft Office を使うための方法と注意点、そして同等の利便性をもって使うことのできる Google の Office ツールについて紹介します。
Chromebook で Microsoft Office を使う方法
結論から言えば、Chromebook で Microsoft Office を使うことは可能です。しかし、Chromebook に搭載されている Chrome OS では Microsoft Office ソフトウェアをインストールすることができないため、使用するためには以下の3つの方法のいずれかを取る必要があります。
Office オンラインを使用する
1つ目は、Chrome ブラウザからオンライン版 Microsoft Office にアクセスする方法です。
個人の Microsoft アカウント(無料)、または Microsoft 365 のサブスクリプションに関連付けられているアカウントがあれば、オンライン版 Microsoft Office にサインインすることができます。ただし、教職員の方が業務で利用する場合は、これらのアカウントとは別途に教育向け Microsoft 365 への契約が必要です。
Chrome ブラウザでファイルを開く
2つ目は、Chrome ブラウザ上で Microsoft Office のファイルを開く方法です。1つ目の方法と一見似ていますが、こちらは Microsoft の機能を使わないため、サインインをする必要がありません。
Chrome ブラウザでファイルを開くためには、メールなどに添付されている Office ファイルを一度ローカルにダウンロードします。その後、ダウンロードした当該ファイルを開けば、Chrome ブラウザで Office ファイルを閲覧することができます。
また、ローカルに保存せずドキュメント等の形式(.gdoc / .gsheet / .gslides)に変換したうえでファイルを開くという手段もあります。その場合、そのままドキュメント等の形式で保存することも、Office ファイルとしてダウンロードすることも可能です。
Google ドライブ に保存する
3つ目は、Office ファイルを Google ドライブ に保存する方法です。
Google ドライブでは、ファイルを変換せずにそのまま保存することが可能なので、元の Office ファイルの形式を維持したまま編集作業が行えます。しかし、編集作業時の画面は Google Workspace と同じものになるので、使い慣れた感覚で編集が可能です。
ファイルを保存する場合は、ドキュメント等の形式、Office ファイル形式、いずれの形式でも保存が可能です。
また、拡張機能「ドキュメント、スプレッドシート、スライドで Office ファイルを編集」を追加することによって、ファイル形式を変更することなく、保存・編集することが可能になります。
参照:Chromebook で Office ファイルを開いて編集する
Chromebook で Microsoft Office を使う際の注意点
Chromebookで Office ファイルを開いたり編集したりすることは可能ですが、完全に互換性があるわけではないので注意が必要です。ここでは、特に注意しておきたい点について確認しておきます。
デスクトップアプリ版 Office は利用不可
Microsoft は Office のデスクトップアプリ版もリリースしていますが、こちらは Windows 用のものであり、Chromebook では利用することができません。また、Android アプリ版についても、Chromebook 向けのサポートは終了しています。そのため、Chromebook で Microsoft Office の機能を利用したい場合は、先述の Office オンラインを利用するしかありません。
一部機能の制限
Microsoft Office のオンライン版では、ソフトウェア版やアプリ版と比べて、一部機能が制限されています。そのため、ソフトウェア版やアプリ版の Office を使い慣れた人にとっては、オンライン版で同等のパフォーマンスを発揮するのは難しいと言えます。
オンライン版 Office の代表的な機能制限は以下の通りです。
- ファイルの保存先が OneDrive のみ(Word, Excel, PowerPoint共通)
- 行番号の作成不可(Word)
- IRMで暗号化された文書の編集不可(Word)
- 引用文献の挿入、文献の登録不可(Word)
- スマート検索機能の使用不可(Excel)
- グラフの追加不可(PowerPoint)
- リハーサル・スライドショーの記録不可(PowerPoint)
- ファイルの比較機能の使用不可(PowerPoint)
書式や文字、デザインのズレ
Microsoft Office のファイルをドキュメントなどの形式に変換して編集する場合、もともとの書式が維持されない、文字がズレる、デザインが変わってしまうなどして、微調整や修正が必要になることがあります。
Google Worksplace と Microsoft Officeとの互換性は年々向上していますが、それぞれのUIが違うために完全な互換というのは難しく、ある程度のズレは仕方のない部分とも言えます。
Chromebook で使うなら、Google のオフィスツールがおすすめ
Chromebookで編集作業を行う場合、やはり Google の純正オフィスツールである Google Workspace を利用することをおすすめします。Google Workspace には、Microsoft Office の Word、Excel 、PowerPoint のそれぞれに対応するツールとして、「Google ドキュメント」「Google スプレッドシート」「Google スライド 」の3種類が含まれています。それぞれについて詳しく確認しておきましょう。
Word ≒ Google ドキュメント
Google ドキュメントは Office の Word に対応する文書作成用のツールです。ドキュメントを保存する際は「.gdoc」という拡張子になりますが、Word の「.doc」「.docx」という拡張子のファイルも開くことが可能です。
Excel ≒ Google スプレッドシート
Google スプレッドシートは Office の Excel に対応する表計算用のツールです。保存ファイルの拡張子は「.gsheet」で、もちろん Excel の「.xls」「.xlsx」も開くことができます。表計算ツールとして必要な関数は Excel と同等の水準で使うことができます。
Power Point ≒ Google スライド
Google スライドは Office の PowerPoint に対応するプレゼンテーション用のツールです。保存ファイルの拡張子は「.gslides」で、Office の「.ppt」「.pptx」ファイルも開くことができます。画像や動画の挿入などの基本的な機能から、経過時間の表示、ノートやポインターなどの便利な機能まで備わっているので、学校での発表活動などにも充分対応が可能です。
Chromebook の導入ならミカサ商事にお任せください
ここまで Chromebook と Microsoft Office の互換性についてご紹介してきました。
完全とまでは言えないものの、両者は編集作業を行ううえで最低限必要となる互換性は有しています。しかし、Chromebook を導入するのであれば、同じく Googleが開発している Google Workspace を利用する方が利便性が高いのは間違いありません。
弊社ミカサ商事では、Chromebook の導入支援を行っており、今までに400校以上の学校様や地方自治体様への導入支援実績がございます。これから Chromebook や Google Workspace の導入を進めたい教育機関ご担当者様は、ぜひお気軽にお問い合わせください。