【有害サイトをフィルタリング】Chromebook に学校側で閲覧制限をかける方法とは?

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多くの学校で Chromebook がGIGAスクール構想用の端末として採用・導入されています。
しかし、Chromebook を生徒に使用させるにあたり、有害サイトによる被害や個人情報漏洩などのリスクが気になる方もいるでしょう。
そこで今記事では、そのような危機を未然に防ぐための方策として「閲覧制限(フィルタリング)」について解説し、それによって得られるメリットから、具体的な方法まで詳しく紹介します。

管理者側でできる Google Workspace や Chromebook のセキュリティ設定についてまとめた資料はこちら↓

そもそも閲覧制限(フィルタリング)とは?

閲覧制限(フィルタリング)とは、ある特定の情報を見ることができないように制限をかけることです。特にインターネット上においては、青少年に有害である、または違法である情報を青少年の目に触れさせないようにするシステムのことを指して使われます。
平成20年に「青少年が安全に安心してインターネットを利用できる環境の整備等に関する法律」が施行されてからは、IT業界各社におけるフィルタリング技術の開発整備が特に顕著となり、現在では多くのIT機器にフィルタリング機能が搭載されています。

参考: 青少年インターネット環境整備法・関係法令 | 内閣府

主要なフィルタリングの方式

一括りにフィルタリングと言っても、さまざまな方法が存在します。その中でも代表的なのが、「ホワイトリスト方式」「ブラックリスト方式」という2種類の方式です。

ホワイトリスト方式

子どもにとって安全であり、教育的にも有益だと判断されるサイトをあらかじめ定めておき、それ以外のサイトへのアクセスを制限する方式です。アクセス可能サイト以外へのアクセスを完全にブロックすることができるため安全性が高く、小さな子どもが使う機器へのフィルタリングとして効果的です。その一方、アクセス可能サイトを増やすためには手動でリストを更新する手間がかかるため、学習の進捗に応じた拡張性に欠ける点がデメリットとして挙げられます。

ブラックリスト方式

子どもにとって有害なサイトをあらかじめ定めておき、そこへのアクセスを制限する方式です。フィルタリング効果がより高いのは上記のホワイトリスト方式ですが、フィルターという覆いが多くなれば、結果的に可能性も狭まってしまいます。その点、ブラックリスト方式であれば、インターネットへの自由なアクセス権は維持したまま、子どもに見せたくないサイトだけをピンポイントでブロックすることができます。そのため、教育現場におけるフィルタリングとしてはブラックリスト方式がより適していると言えます。

参考: フィルタリング(有害サイトアクセス制限サービス)をご存じですか | 総務省

学校で使う Chromebook に閲覧制限(フィルタリング)を行うメリットとは?

ここからは、学校の Chromebook にフィルタリングを行うことでどのようなメリットがあるのか説明していきます。

学習に関係ないサイトの閲覧を制限し、学習効率アップ

GIGAスクール構想用の端末として Chromebook を導入した場合、教室内で端末は常にオンラインの状態にあります。その状態で何の制限もなく、自由にサイトへアクセスすることが可能であれば、生徒によっては Chromebook を「大きめなスマートフォン」程度に捉え、学習に関係ないサイトの閲覧をしてしまう可能性が生まれます。
事実、2021年9月にデジタル庁・総務省・文部科学省・経済産業省が共同で出した報告書「GIGAスクール構想に関する教育関係者へのアンケートの結果及び今後の方向性について」では、GIGAスクール機器を授業で使用するにあたって、子どもたちの情報モラル・情報リテラシーが欠如しているとして、以下のような教師の意見が挙げられています。

授業中に端末を利用する取組で、アニメやゲーム情報や動画サイトを見て騒ぐ生徒が居り、それにクラス全体が流されてしまうケースがある。

引用:GIGAスクール構想に関する教育関係者へのアンケートの結果及び今後の方向性について P.28 | デジタル庁 総務省 文部科学省 経済産業省

適切なフィルタリング措置を取れば、生徒たちが Chromebook で学習と無関係なサイトにアクセスすることは十分に制限可能です。その結果、授業で行われる取り組みへの生徒たちの集中も高まり、さらなる学習効率のアップが期待できます。

危険性のあるサイトをブロックし、個人情報漏洩・ウイルス感染のリスクを防止

Chromebook はウイルス対策機能が標準搭載されており、ウイルスの侵入を多層的に防御しています。そのため、ユーザー側でのウイルス対策が不要なほど安全性の高い端末です。しかし、100%安全なわけではありません。インターネットの深部には悪意をもって作られたコンピューターウイルス・マルウェアなどが存在しており、危険性の高いサイトにアクセスすることで、それらの被害を受けてしまう可能性が高まります。コンピューターウイルスに感染してしまった場合には、個人情報や学校の機密情報漏洩に繋がることも十分考えられます。
個人情報漏洩・ウイルス感染などのリスクを防ぐためには、フィルタリングによって危険性の高いサイトへのアクセスを制限しておくことが重要です。上述の通り、Chromebook は本来ユーザー側でのウイルス対策が不要な、安全性の高い端末です。そのため、危険なサイトへのアクセスさえブロックしてしまえば、高いセキュリティ環境での運用が可能となります。
参考: Chromebook のセキュリティ | Chromebook ヘルプ

生徒が犯罪に巻き込まれてしまう機会を大幅に減少

スマートフォンが広く普及した現代、多くの中高生がインターネットを利用した犯罪の被害者になっています。2017年に警察庁が発表した資料によると、インターネット上のコミュニティサイトで犯罪に巻き込まれた児童被害者のうち、フィルタリングに加入していたのは1割強に過ぎず、実に9割を超える児童がフィルタリング無しでスマートフォンを使っていたという事実が明らかとなりました。
参照: コミュニティサイトに起因する児童被害の事犯に係る調査結果について(平成26年上半期)P.13 | 警察庁

これ以来、児童のスマートフォンにおけるフィルタリング加入は急速に進みましたが、GIGAスクール構想が推進される現在、GIGAスクール端末は犯罪の新たな温床となりかねません。スマートフォンと同様に適切なフィルタリングを実施することが求められます。

Chromebook への閲覧制限(フィルタリング)はどこまでできる?

Chromebook を学校で利用する際にフィルタリングソフトは必要か?

Chromebook を管理する「管理コンソール」には、閲覧制限を行う機能も備わっています(※1)。ただし、有料のフィルタリングソフトの機能を網羅するものではないため、別途フィルタリングソフトを利用するかどうかは学校様のご判断によるところとなります。
次の項で管理コンソールでできる閲覧制限の内容について解説しますので、フィルタリングソフトの導入が必要かどうか検討する際の参考にしてください。

※1 前提として、Chromebook を学校で管理するためには、純正のMDM(端末管理)ツールの「Chrome Education Upgrade」が必要です。

Chrome Education Upgrade についての詳細を知りたい方はこちら↓

Chrome Education Upgrade とは? Chromebook の MDM を徹底解説【学校向け】

Chromebook の優位点を発揮するために必要な「Chrome Education Upgrade」というライセンスをご存知でしょうか。本記事では、特に学習者用端末として Chromebook の導入を検討する際に知っておきたい Chrome Education Upgrade の詳細について解説していきます。

管理コンソールでできる閲覧制限

Chrome Education Upgrade を導入すると、管理コンソールでは以下のような設定ができます。

  • セーフサーチ
    Google によって「危険性がある」と判断された Web サイトを、検索結果から除外する機能です。あくまで検索結果に表示されないようにするのみであり、直接URLを指定した形などのアクセスについては防ぐことができません。また、危険性の判断基準は Google 独自のものであるため、「管理者側でカテゴリを指定してそのカテゴリに当てはまるページを除外する」といったことはできません。
  • セーフブラウジング
    危険性のある Web サイトに生徒がアクセスを試みた際に警告画面を表示することができます。また、生徒が警告を無視して Web サイトを閲覧することを禁止する設定も可能です。こちらも、セーフサーチと同様に、危険性の有無は Google の独自の判断基準によります。
  • URL のブロック
    生徒によるアクセスを禁止したい Web サイトを、URL から直接指定することができます。特に、校内で流行している SNS 等、特定の Web サイトへのアクセスを制限したい場合には、この機能が役立ちます。

それぞれの設定方法については後ほど解説します。

このように、管理コンソールでは閲覧制限の機能が備わっていますが、「SNS」「ギャンブル」等、特定のカテゴリに Web サイトを自動分類し、該当したものへのアクセスを制限することはできません。また、どのような Webページを誰がいつ閲覧したかの確認も、管理コンソールだけでは行うことができません。そのような機能を利用する場合は、別途有償のフィルタリングソフトを導入することが考えられます。

学校配布の Chromebook で閲覧制限を行う具体的方法


最後に、Chromebook に閲覧制限をかける具体的な方法について確認しておきましょう。Chrome Education Upgrade を導入していれば、生徒の持つ端末1台ずつについて個別に対応する必要はなく、管理者側で一括して設定を行うことが可能です。

Chromebook に対して管理コンソール上で閲覧制限をかける方法

続いて、上述した3つの閲覧制限機能「セーフサーチ」「セーフブラウジング」「URLのブロック」について、具体的な設定手順を解説していきます。

  1. 管理コンソールにログイン
    管理コンソール(https://admin.google.com)にアクセスして、Google Workspace の管理者アカウントでログインします。
  2. [デバイス]→[Chrome 管理]に移動
    ログインが完了すると、Google 管理コンソールのホーム画面が表示されるので、左中央にある [デバイス] をクリックし、その後、[Chrome 管理] → [設定] → [ユーザーとブラウザの設定] の順にクリックしていきます。
  3. 【重要】設定を適用させたい組織を選択
    管理コンソールでは、組織ごとに設定を分けることができます。画面左に「組織部門を検索」という表示があるので、設定を反映させたい組織を選択しておきます。
    注意する必要があるのが、組織を選択しても、その組織に対象の生徒のユーザーアカウントが配置されていなければ、そのアカウントには設定が反映されない点です。閲覧制限を適用したいアカウントがきちんと組織に配置されているかを確認しておく必要があります。
  4. 設定を実施する 
  • セーフサーチ
    セーフサーチの設定は、[ユーザーとブラウザの設定] 内の [コンテンツ] というメニューの中にあります。「Google 検索クエリに常にセーフサーチを適用する」という選択肢を選び、画面右上の「保存」をクリックします。
  • セーフブラウジング
    セーフブラウジングの設定は、[ユーザーとブラウザの設定] 内の [Chrome のセーフ ブラウジング] というメニューの中にあります。「常にセーフ ブラウジングを有効にする」という選択肢を選び、画面右上の「保存」をクリックします。
  • URLのブロック
    URLのブロックの設定は、[ユーザーとブラウザの設定] 内の [コンテンツ] というメニューの中にあります。

    [ブロックされるURL](URL Blocklist)
    ここに入力されたURLは、ユーザー(生徒)によるアクセスが禁止されます。先述した「ブラックリスト方式」のイメージです。[ブロックするURLの例外](URL Allowlist)
    ここに入力されたURLは、ユーザー(生徒)によるアクセスが許可されます。先述した「ホワイトリスト方式」のイメージです。既に [ブロックされるURL] に登録されているURLであっても、ここに入力すればブロックリストから外れ、アクセスが可能になります。

    この手順で、[ブロックされるURL] 、[ブロックするURLの例外] に合計で最大1,000個のURLを登録することができます。

    URLを指定し、画面右上の「保存」をクリックすることで、設定が完了します。

    参考: Chrome Enterprise and Education ヘルプ|Google ヘルプ

Google 管理コンソールで、閲覧制限をはじめとしたセキュリティ対策が可能に

以上ご紹介したように、Google 管理コンソールを使えば簡単にフィルタリングを行うことができます。とはいえ、管理コンソールでできるのはフィルタリングだけではありません。このツールを活用すれば、その他のセキュリティ対策についても実現が可能です。
弊社ミカサ商事では、これまでに400を超える学校様に Chromebook や Google Workspace の導入を支援してきた実績をもとに、「学校での利用に適切なセキュリティ設定とその方法がわかる資料」をご用意しました。

本資料は、既に Chromebookや Google Workspace をご利用中の学校様だけでなく、「無料でどこまでセキュリティ対策をすることができるのか知りたい」という方にもおすすめです。ぜひ一度ご覧ください。