2019年にGIGAスクール構想が打ち出されたことで、小学校をはじめとする教育機関でパソコン導入が進んでいます。授業や課題、出席や成績管理など、さまざまな作業がパソコンで行われつつあります。その中で導入すべきパソコンのスペックをどのように選定するかは難しいポイントです。
本記事では学校で必要とされるパソコン端末の基本スペックを踏まえて、GIGAスクール構想の標準仕様書でも推奨されている Chromebook のスペックや導入のメリットをご紹介します。
学校教育でパソコンの導入が必要に
2020年度より小学校で、2021年度より中学校でプログラミング教育が開始され、2022年度からは高校でも必修化します。また日本ではプログラミングの必修化、そして先進国の中でも後れをとっている教育現場のICT化を強化すべく、学校教育で迅速なパソコンの導入が必要とされています。
GIGAスクール構想とは
教育機関のICT化を促進するため、2019年末に文部科学省が打ち出したのがGIGAスクール構想です。GIGAスクール構想ではネットワーク環境の整備、生徒1人1台の端末保有を柱に、教育現場のICT化を進めるべく補助金制度などを設けています。
そのほか学習ソフトや管理ツールの充実、環境整備のための指導体制強化などの取り組みを実施し、国・自治体・教育機関が一体となって教育現場のICT化を目指しています。
学校教育で必要とされるパソコン端末
GIGAスクール構想では生徒1人につき1台端末を保有することを目標としており、その際に選ぶべき端末を標準仕様書で提示しています。提示されている端末は「Windows OS」「Chrome OS」「iPad OS」、3種類のOSであり、そのほかAndroidも利用されています。OSは学校が自由に選択可能ですが、それ以外は以下の共通仕様例が提示されています。
・LTE通信対応も可
・Bluetooth接続でないハードウェアキーボード
・音声接続端子:マイク・ヘッドフォン端子
・外部接続端子1つ以上
・バッテリ:8時間以上
・重量:1.5kg未満
・タッチパネル対応
・インカメラ/アウトカメラ
ここでは、各種OSの特徴をご紹介していきます。
Windows OS
Windows OS は最も一般的なOSであり、多くのパソコン端末で搭載されています。Windows OS 最大の特徴は、Word やExcel 、PowerPoint といったツールが利用できることです。操作性に優れている点でビジネスシーンでも広く活用されており、対応しているフリーソフトが多い点が特徴です。
Android
Android はスマートフォン寄りの使い方がしやすい OS であり、タブレットに多く搭載されています。Google がLinux を携帯端末用に改良して作った OS ということもあり、Google のサービスとの連携がスムーズな点が特徴です。
Chrome OS
Chrome OS は、Chromebook に使用される Google が開発した独自の OS です。Webブラウザは Google Chrome を基本とし、余分なシステムを搭載していないことからサクサク動く点が特徴です。文部科学省が8月に公表した端末利活用状況等の実態調査では、全体の40.1%が Chrome OS を採用しています。
その他
Mac OS 、iPad OS はApple が開発した OS であり、MacBook や iPhone 、iPad に搭載されています。シンプルでスタイリッシュなデザインが特徴で、直感的に操作しやすい点で優れています。Mac OS が搭載される MacBook は高額端末であることから、学校教育ではiPad OS が搭載されるiPad の導入が一般的です。
「GIGAスクール構想の実現パッケージ」で文部科学省が推奨する Chromebook のスペック
複数ある OS の中でも学校で多く採用されている Chromebook ですが、ひとくちに Chromebook といってもさまざまなモデルがあります。その中でも、標準仕様書に則った仕様の Chromebook を導入することが必要になります。文部科学省が提示する「GIGAスクール構想の実現パッケージ」では、Chromebook の仕様例を以下のように示しています。
・OS:Google Chrome OS
・CPU:Intel Celeron 同等以上
※2016年8月以降に製品化されたもの
・ストレージ:32GB
・メモリ:4GB
・画面:9~14インチ
・ASUS
・HP
・DELL
・NEC
・Lenovo
・Dynabook(シャープ)
Chromebook は Windows や iPad と比較すると低価格で販売しており、かつ共通仕様のスペックを満たしています。Chrome OS は余分なシステムを搭載しておらず、サクサクと動く点が特徴であることからも、学習に適しているとして最多の導入率を誇ります。
学校では Chromebook がおすすめ! Chromebook のメリット
パソコンなどの端末で広く知られているのはやはり Windows や Mac であるため、Chromebook の導入には足踏みしてしまうケースもあります。しかし公立小中学校のGIGAスクールにおける端末のOSシェア1位は Chrome OS となっています。
ここでは Chromebook の特徴を踏まえて、学校で Chromebook を導入するメリットをご紹介します。
低予算で購入可能
Chromebook の導入における最大のメリットは、低予算で購入可能な点です。パソコンはスペックにもよりますが、5〜10万円前後が一般的な価格帯です。その中でも Chromebook は3万円台から購入でき、推奨価格帯である5万円前後のモデルが多くあります。生徒1人1台となると大量購入が必要であるため、低予算で購入できる点は大きなメリットです。
コストパフォーマンスに優れている
パソコンは価格も重要ですが、それ以上に目的にあった機能を十分に使えるかを重視する必要があります。授業や自宅、宿題や出席管理などで利用することを想定すると、ある程度のスペックを有している必要があります。
Chromebook は低価格ながらも、教育用途で使用するには十分なスペックを有しています。その証拠にGIGAスクール構想の標準仕様書でも、Chromebook が推奨されています。そのため価格・スペック面でみたコストパフォーマンスに優れており、実際に教育現場で最も導入されている端末です。
データの管理がスムーズ
Chromebook でのデータ管理は、基本的に全てクラウドで行われます。従来は学校でパソコンを使用する場合、教材や宿題、アンケートなどさまざまな書類をパソコンに保存することになります。
しかし内蔵ストレージの保存だけでは、パソコンの故障時や紛失時にデータが全て失われてしまう恐れがあります。一方で Chromebook であれば内蔵ストレージのほか、Google ドライブ でクラウド保存されるため、スムーズかつ安心のデータ管理が実現します。
充実したセキュリティ対策
Windows OS や iPad OS では別途ウイルス対策のソフトを必要とするケースも多いですが、Chrome OS は改めてウイルス対策をする必要がありません。学校では個人情報を多く扱う点でウイルスなどの危険性もあるパソコン使用が不安視されます。しかし Chromebook であれば強固なセキュリティ対策により安心・安全のネットワーク利用が可能です。
Google の各サービスが使いやすい
Chromebook は Google が開発したパソコンであることからも、Google の各サービスが使いやすい点も特徴です。Gmail や Googleドライブ 、Google ドキュメント などの馴染みのツールが最初から利用できます。そのほか必要なツールやアプリがあれば、Google Play で手軽にインストール可能です。
バッテリーが長持ち
1回の充電で1日中問題なく使用できるため、複数の授業や課外活動でも安心です。さらに余分なシステムを搭載していない分、無駄なバッテリー消費が少ないため、バッテリーの経年劣化が少ない点もメリットです。
導入後の管理がしやすい
生徒用の Chromebook は教員が1つの管理画面で管理・設定できるため、導入後も一元的に管理できる点が特徴です。さらに教育機関向けのサービスである Google Workspace for Education を利用すれば、基本ツールや必要な機能をカスタマイズして学習や管理に活用できます。導入後の管理のしやすさは教員の業務効率化にも関わるため、大きなメリットの1つです。
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