高校でのICT教育やプログラミング教育を進める上で重要になるのが、生徒が活用するPCの選定です。高校のICT教育・プログラミング教育に向けたPC導入では基本的に「iOS (iPad)」「Chrome OS™ (Chromebook)」「Windows」、いずれかの端末を導入することになります。
しかし、これらのPCはOSやスペックはもちろん、使用できるプログラミング系のアプリ、セキュリティ性能、管理方法など、さまざまな点が異なり、それぞれに特徴があります。
本記事では、高校のICT教育やプログラミング教育でPCを導入するときのポイント、高校のICT教育・プログラミング教育でおすすめのOS・スペックについて解説していきます。
なぜ高校のICT教育やプログラミング教育でPC導入が必要なのか?
高校に先立ち、小中学校ではGIGAスクール構想(生徒1人に1台のコンピューターと高速ネットワークを整備する文部科学省の取り組み)に伴い、すでにPCを活用した、ICT教育やプログラミング教育が進められています。
そして今後は、高校でもプログラミング教育やICT教育など、PCを活用した取り組みが加速していく見込みです。この点から小中学校に続き、高校でもPC導入が必要とされています。
令和4年1月11日には文部科学省から「高等学校における1人1台端末の環境整備について (文部科学大臣・デジタル大臣からのメッセージ)」として、ICT教育やプログラミング教育に関する方向性が公表されました。
この中で小中学校でPCやタブレット端末で学んできた生徒が、新しい学習指導要領に伴い情報活用能力を学習の基盤となる能力を身につけるために、情報科における共通必履修科目「情報Ⅰ」において、全ての生徒がプログラミング等について学習を開始すると公表されています。
この他にも今後は、高校のテストでPC端末を活用したCBT試験が進められる見込みです。CBT試験は、従来の試験会場での紙を使ったテストに比べ、会場確保の手間やスタッフの業務削減に寄与する試験です。
こうしたプログラミング教育やICT教育、さらにCBT試験といったように、PCを活用した学習スタイルが定着しつつあり、高校でもPCの導入が急がれています。またすでにいくつかの高校では、PCの導入はもちろん授業での活用も進んでいます。
参考:文部科学省高等学校における1人1台端末の環境整備について (文部科学大臣・デジタル大臣からのメッセージ)
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高校の授業での Chromebook 活用事例まとめ!ICT活用推進の事例やノウハウも紹介 – 教育機関向けGoogle for Education 情報発信サイト
高校でのICT活用推進に先立って、小・中学校ではすでに1人1台の学習者用端末が普及するなど、さまざまなICT活用推進の取り組みが進められています。その際、導入端末でトップシェアを誇ったのが Chromebook です。そして今後は高校でも、 Chro […]
高校のICT教育やプログラミング教育でPC導入のポイント
高校のICT教育やプログラミング教育などに向けてPCを導入する際には、PCのOSとスペックの理解が不可欠です。高校におけるPC選定の際には、OSやスペック以外にもさまざまな点を加味する必要がありますが、まずは推奨されているOS・スペックを確認しておくことが重要です。
またOS別に推奨されるプログラミングアプリを理解することも重要です。ここではOS・スペック・プログラミングアプリの3つの視点から、高校のICT教育やプログラミング教育におけるPC導入のポイントについてご紹介していきます。
文部科学省の推奨OSを参考に高校生に必要なOSを理解する
上記でも触れたように高校に先立ち、小中学校ではGIGAスクール構想に伴いICT教育やプログラミング教育が進められています。その中で導入すべき学習者用端末の標準仕様として、公表されているPC端末は「iOS (iPad)」「Chrome OS™ (Chromebook)」「Windows」の3種類です。
高校でのPS端末導入の際にも、小中学校に続き生徒がスムーズに活用できるよう、これらのOSが踏襲される見込みです。またそれぞれのOSの特徴は、次のようになっています。
参考:総務省GIGAスクール構想の実現パッケージ
iOS (iPad)の特徴
iOS (iPad)は、iPhone や MacBook をはじめとするデバイスやクラウドサービスで有名な Apple の提供しているOSです。またiOS (iPad)はタブレット端末のため、直感的な操作性に優れており、さらに「Apple Pencil」による手書きとの相性も良く、カメラ性能や教育関係のアプリにも定評があります。
ただしiPadはタブレット端末なのでキーボードはオプションとなり、文章作成などのキーボード操作には不向きです。また修理後に再セットアップ やデータ移行が必要な点、端末とアカウントで別々の管理ソフトが必要な点には注意が必要です。
Chrome OS (Chromebook)の特徴
Chrome OS (Chromebook)は起動やアップデートにかかる時間が短く、操作性に優れるOSです。また小中学校の導入で Chrome OS(Chromebook)はトップシェアを誇るため活用事例も多く、高校でも導入・活用が進んでいるOSです。
さらに、端末レベルではなくユーザー毎にデータを暗号化することができるため、高いセキュリティ性能があることもメリットの一つです。仮に端末の修理が必要になった際にも、修理後はログインのみで環境を復元でき、端末とアカウントを純正MDM(端末を一元的に監視・管理するためのサービス)で一元管理できる点も魅力です。
Windowsの特徴
Windows はビジネス用途をはじめとして、世界的に高いシェアがあり、使い慣れている方が多いOSです。また文章作成や表計算ができる Office との親和性が高く、マウスによるカーソル操作や高い汎用性が魅力です。
ただしOSの起動や動作が重くなるデメリットやウイルス対策やアップデートの管理などの
負担が多いのが実情です。
高校生のプログラミング教育に必要なスペックについて理解する
OSに次いで、高校でのPC導入の際に重要になるのが、PCのスペックについてです。一括りにPCのスペックといってもさまざまな項目がありますが、高校のICT教育やプログラミング教育を目的にPCを導入する場合、まずはCPU・メモリ・ストレージについて押さえておきましょう。
CPUの性能
CPU(Central Processing Unit)とは、計算や情報処理、データ処理などを行うPC内部の中心的なパーツです。またPCの頭脳に例えられることが多く、プロセッサーとも呼ばれています。高校のICT教育・プログラミング教育用途のPCの場合、一般的にCore i5 以上の性能を持つCPUが必要です。
メモリの多さ
メモリとは、CPUが処理を実行するためのデータを一時的に記憶する場所です。CPUがPCの頭脳に対して、メモリは机に例えられます。机が広いほど多くの教科書や資料を広げて学習できますが、狭い机では教科書や資料を広げられず学習効率が悪くなります。つまりメモリが大きいほど、PCで多くのアプリを起動させた状態でも、PC動作がスムーズでストレスなく使用できます。
また高校のICT教育・プログラミング教育用途のPCの場合、メモリは一般的に8GB以上が必要です。16GB以上であれば、映像処理やより多くのアプリを起動しても、基本的には余裕を持って学習できます。
ストレージの多さ
ストレージとは貯蔵や保管を意味し、データを保管・保存する場所のことで、主にHDDやSSD、外付けハードディスク、USBメモリーのことを指します。ストレージが多いほど、多くのデータを保管・保存できますが、高校のICT教育・プログラミング教育用途のPCであれば、一般的に256GB以上のストレージがあれば十分でしょう。文章や簡単なプログラムを保存する程度であれば数十GBでも十分なケースもあります。
※ただし、Chromebook の場合は本体ではなく Google ドライブなどのクラウド上にデータを保存するのがメインになるので、通常は本体ストレージはほとんど使用されません。Chromebook を採用する場合はストレージは少なくとも問題ないとお考え下さい。
PCのOS別に推奨されるプログラミングアプリを理解する
高校でのプログラミング教育を進める際には、基本的にプログラミングアプリを活用して、学習していくことになります。また上記でご紹介したように、PC端末は「iOS (iPad)」「Chrome OS™(Chromebook)」「Windows」の3種類が挙げられますが、それぞれのOSで推奨されているプログラミングアプリが異なります。
推奨されているプログラミングアプリ以外でも作動できるケースもありますが、不具合やトラブルを避けるためにも、OS推奨のアプリでの作動を基本的として活用しましょう。
MakeCode なら Windows
MakeCodeは、Windows のオープンソースのプログラミング学習プラットフォームです。ブロックを使ったビジュアルコーディングと JavaScript によるテキストコーディングの2種類のエディタを切り替えながら、プログラミングできます。
また生徒にコンピューターサイエンスを学習する際のヒントや授業案やサンプルのプロジェクトファイルが用意されており、学習を促進させるコンテンツも充実しています。
Grasshopper なら Chromebook
Grasshopper は Chromebook で活用できる、JavaScript を学べる代表的な初心者向けのコーディング・プログラミングアプリです。また JavaScript は多くのWebサイト・Webページで使用されているプログラミング言語で、プログラミングの基礎となる言語です。
Grasshopper は Chromebook のWebブラウザをはじめ、すべてのWebブラウザで使用でき、進行状況はデバイス間でシームレスに同期されるので管理も容易です。さらに Grasshopper では変数、演算子、ループなどの基本的なトピックに加え、JavaScript に並んでプログラミングの基礎となる HTML や CSS も網羅的に学べるためプログラミング教育には最適なアプリの1つです。
Swift Playgrounds なら iPad
Swift Playgrounds は、Swift のコードの書き方を学べる iPad 用のプログラミングアプリです。Swift Playgrounds を使う際、コーディングの知識は一切不要で、これからコードを学び始める生徒の学習にも最適です。
またパズルを解きながらコードの基本をマスターでき、ガイドを見ながらアプリを構成する要素について学習できるためSwiftの基本を学ぶ際に活用できます。
高校のICT教育・プログラミング教育でおすすめのOS・スペックとは?
高校のICT教育・プログラミング教育に向けてPCを導入する際には、上記でご紹介したOS・スペックをはじめ、プログラミングアプリについても理解しておきましょう。最後にOSの比較とおすすめのOS、おすすめのスペックについてご紹介していきます。
高校のICT教育・プログラミング教育でのOS選定
高校のICT教育・プログラミング教育でのOS選定の際には、セキュリティ・速さ・管理の楽さ・使いやすさの4点を加味するようにしましょう。
高校のPC導入は、プログラミング教育はもちろんですがICT教育にも活用するため、個人情報を扱うことになります。そのため強固なセキュリティ対策が欠かせません。起動やアップデートにかかる時間も、学習を円滑に行うためには欠かせない要素です。
また教員が学習内容を管理したり、セキュリティ対策を施す際の管理の容易さも重要になります。さらにストレスなくスムーズに作業できる使いやすさも加味しましょう。
この4つの点を踏まえると、Chrome OS が多くの高校では、もっともおすすめのPCです。Chromebook は小中学校でもトップシェアを誇っており、導入事例や活用事例も多く、生徒が使用感をわかっている点でも、Chrome OS であれば安心して導入できるでしょう。
OS比較
セキュリティ | 速さ | 管理の楽さ | 使いやすさ | |
iOS (iPad) | ・Apple Store 自体がウイルス対策になっている ・端末ごとにデータを自動で暗号化 | ・起動に約15秒(ロック解除時は約2秒) ・アップデートのサイズ大 | ・修理後に再セットアップやデータ移行が必要 ・端末とアカウントで別々の管理ソフトが必要 | ・Apple Pencil の性能が高く、手書きとの相性がいい ・誰もが使い慣れている |
Chrome OS (Chromebook) | ・ウイルス対策不要なレベルでリスクが低い ・端末レベルではなくユー ザー毎にデータを暗号化 | ・10秒以内に起動 ・アップデート中も通常時と全く同じ動作で使用可 | ・修理後にもログインのみで環境を復元 ・端末とアカウントを純正 MDMで一元管理 | ・シンプルかつ直感的操作 ・動作が軽くストレスがない ・アプリが比較的少ない |
Windows | ・教育現場での利用はウイルス対策が必須と考えられる | ・起動に約60~90秒 ・アップデートのサイズ大 ・価格を抑えた機種のスペックでは動作が重くなる | ・ウイルス対策やアップデートの管理等の負荷大 ・情報管理部門がある場合は慣れた管理ができる | ・教職員は使い慣れている ・利用できるソフトや周辺機器が豊富 ・児童生徒は習熟が必要 |
高校のICT教育・プログラミング教育でのスペック選定
CPU・メモリ・ストレージといったスペックは、PCの性能を特に左右する項目です。基本的には下記のスペック以上のPC導入がおすすめです。ただし使用するアプリや授業のスタイルなどによって、必要なスペックは異なるため一般的な例として、参考にしてください。
CPUの性能 | Core i5 以上 |
メモリの多さ | 8GB以上 |
ストレージの多さ | 256GB以上 |
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