【ICT担当者向け】学校でのICT教育のための教職員向け研修計画の考え方

GIGAスクール構想によって、新たに1人1台の学習者用端末導入や、クラウドツールのアカウント整備を進められた学校様は多いのではないでしょうか。しかし、限られた期間で環境の変化を求められた GIGAスクール構想では、導入後の活用まで綿密に計画することが難しく、まだまだ活用はこれからという学校様も多いようです。本記事では、学校内の ICT推進担当者向けに、校内のICT活用を促進する教職員向け研修の考え方について解説します。

研修計画の前に! ICT活用のために押さえておきたいポイント

①活用推進は組織で取り組む

積極的にICTを活用することができている学校様では、「ICT推進委員会」など、ICT活用を推進するための組織があることが多い印象です。
このように、一人ではなく複数人で推進を行える体制を作っておくことが重要です。複数人で進めることによって、効果的に推進できるだけでなく、各教科の視点や意見を取り入れることができるというメリットもあります。
現在、一人で推進を行う立場にあるというご担当者様は、組織を作って活動できるよう、管理職の立場の方に許可を求めてみてはいかがでしょうか。

あえてICTが苦手な先生をメンバーにするのも一択

とある学校様では、推進委員会のメンバーに、ICTに苦手意識のある先生をあえて加えているとのことです。そうすることによって、「たとえ自分が苦手でも学校としてはやらなければならないこと」という意識が校内全体に伝わるそうです。また、苦手意識がある先生本人も、推進する立場という役目があることによって、どうすれば有効に使えるものなのかということを考えざるを得ないため、自然と学内のICT活用が活性化していく効果もあるようです。

②目的や目標は管理職の立場から周知する

ICT活用には、目的や目標を教職員全員に周知し組織全体で取り組むことが重要です。目標設定自体は、ICT推進委員会や担当者が行っても問題はありません。ただし、それを全員で共有する際は、管理職(校長、教頭、コース長など)の立場から周知するよう調整を行いましょう。

導入後によくある問題として、ICTが「得意」「好き」な先生だけがどんどん使い、校内全体の意識やリテラシーが付いていかないということがあります。その問題への対処の一つとして、管理職の立場から目標を周知することにより、ICT活用が組織的な取組の一環であることを示すことができます。

③研修計画を明確にする

当然ながら、活用の為にはリテラシーや知識が必要です。学内のリテラシーや知識を底上げするために最も手っ取り早く、有効なのが「教職員向け研修」の開催でしょう。しかし、他の校務や授業準備もある中、研修の開催は手間がかかるものと気が重くなるご担当者様もいらっしゃるのではないでしょうか。さらに、先生方に求められるまま、単発の研修をその都度準備している場合は、一層大変に感じられることとでしょう。

だからこそ、ICT活用の目的や目標を達成するために必要な研修をその分だけ先に計画しておき、学内に示すことができれば、後々の負担は軽減できます。また、計画があれば、「この部分は外部講師に依頼する必要がある」といったことも整理しやすくなり、費用を拠出する際に管理職に説明するのにも役立ちます。

次の項目からは、実際に研修計画を立てる際の手順を解説していきます。

教職員向け研修計画の立て方

①ゴール(目標)を決める

まず、年度単位や学期単位などで、活用の程度や質の目標を決めておきます。
この時のポイントは以下の2つです。

①具体的にどの程度の活用を目指すのか、頻度や割合の数字を盛り込む
②特定の項目に偏らないよう、以下のような幅広い観点から目標を決めておく

目標設定の観点の例

  • 生徒の協働的な学びの時間を増やす
    (各科目で、グループワークを2週間に1授業から1週間に1授業に増やすなど)
  • 校務の効率化
    (職員会議は100%ペーパーレス化するなど)
  • 授業の効率化による、授業の密度の向上
    (小テストや課題のやり取りは基本100%オンライン上で行うなど)

他にも様々な観点が考えられますが、自校のICT活用の目的や、特に課題を感じていることを中心に考えればOKです。

課題や目的が分からないという場合は、専門家の手を借り、ICT活用戦略自体の策定を行うこともできます。
参考:教育機関出身の ICT専門家による「ICT活用推進サポート」はこちら

②ゴール(目標)に対して、手段と必要な知識を洗い出す

続いて、①で決めたゴール(目標)に対して、どのような手段で行えるかを洗い出します。そして、その手段を行う上で教員が最低限身に着ける必要がある知識を整理します。

例えば、Google Workspace for Education や Chromebook の活用の場合、

  • 生徒の協働的な学びの時間を増やす
    →Google スライドや、Google ドキュメントの共同編集を使ったグループワークの方法
  • 校務の効率化
    →会議用の文書を Google ドキュメントで作成し、 Google ドライブにアップロードする方法/他の人に共有する方法
  • 授業の効率化
    Google フォームを使った小テストの作り方/ Google Classroom を使ったオンラインでの課題のやり取りの方法

といったように、目標に応じた手段と、必要な知識が考えられます。

③必要な研修内容を整理し、大まかなスケジュールを決める

②で、必要となる知識が洗い出せたら、大まかな研修内容は決まったといっても過言ではありません。続いて、それぞれの研修をいつ頃実施するのかを考えていきましょう。
基本的には、優先度の高い目標に対応した研修を先に行い、学校行事などのスケジュールを加味して全体を調整していきます。時間がとれそうな日があれば、2つ以上のテーマを同日に扱うこともできるでしょう。

④個々の研修の実施方法を検討する

大まかな研修内容とスケジュールが整理できたら、実施方法について検討していきます。
研修の実施にはいくつかの方法が考えられます。

研修の実施方法

  • 推進担当者や推進委員会のメンバーが講師となる
    伝えたい内容が明確で、解説できそうなメンバーがいる場合は、この方法が考えられます。
    準備の負担はありますが、実施したい内容をそのまま再現できることがメリットです。
  • そのテーマに詳しい先生に解説してもらう
    この方法のメリットは、校内の意見交換を活性化できることです。既に授業で活用できている先生がいれば、他の先生にとってもイメージしやすく刺激にもなり、モチベーションの向上にも効果があるでしょう。
  • 外部講師に依頼する
    導入して日が浅い時期など、まず基本的な知識を網羅的に伝えたい場合は、外部に依頼することも有効です。
    専門家による研修を依頼できる企業もあります。学内で研修の準備の時間が取れない、もしくは知識や分かりやすさに自信がない場合は、企業に依頼することで確実に実施することができます。
    例えば、ミカサ商事では、Google for Education 認定トレーニングパートナーの称号を持った講師の派遣を行っています。
    Google Workspace for Education や Chromebook の研修のお問い合わせはこちら
  • 勉強会形式で開催する
    ある程度は基礎知識がついたという段階では、勉強会形式も有効です。勉強会では、ICTを活用した授業のアイデアや、使えるツールなどの情報を持ち寄り、ブラッシュアップしていきます。実際に勉強会を行っている学校様では、学校内での勉強会のほか、系列校や他校と合同で実施することもあるようです。

⑤研修計画にまとめ、学内に周知する

おめでとうございます!ここまでで、明確な研修計画の中身が出来上がりました。この時点では、③の実施方法や、個々の研修の詳細が固まりきっていなくても問題ありません。年間でどのようなスケジュールで研修が行われるのかが明確になっていることが重要です。
研修内容と予定スケジュールをまとめたら、学内に周知します。この際に、最初に決めた目標(ゴール)をそれぞれの研修の概要に沿えてまとめることで、何のための研修なのかを先生方に理解してもらいます。
また、②目的や目標は管理職の立場から周知すると同様に、研修計画についても、組織全体の取組として管理職の立場から周知していただくのがおすすめです。

研修計画を考える際の注意点

最後に、研修計画を考える上での注意点について解説します。

基礎が全体に定着していない段階では勉強会だけを行わない

上述の勉強会形式は、活用のレベルを上げたり、先生方のモチベーションを上げるためには大変有効です。ただし、まだ基礎が全員に定着していない段階で勉強会だけを行うと、先生方の間でリテラシーの差が広がってしまう要因になり得ます。まずは講義形式で必要な知識を身に着けることを優先的に行うことをおすすめします。

「研修」と「説明会」を混同しない

本ページで解説したように、ICT活用の目標から逆算して研修計画を立てる場合はあまり心配ありませんが、「研修」と「説明会」を区別することが必要です。
例えば、新しくICTツールを導入する際には、ツールの概要や導入の目的、利用上の注意点などを説明する必要があります。そのような内容は「説明会」として、活用のための「研修」とは別のものという認識が重要です。

  • 学内で研修がなく「説明会」のみになっていないか
  • 反対に、必要な説明をスキップしたまま「研修」から始めていないか

を考えながら研修計画を立てることがおすすめです。

研修計画を考えるのが難しい場合は専門家に相談を

以上、教職員向け研修計画の立て方について解説をさせていただきました。
とはいえ、既に取り組んでいる上で苦戦していたり、忙しく計画を立てるのが負担に感じられるご担当者様もいらっしゃるのではないでしょうか。

  1. どのような知識があれば実践できるのかが分からないので研修内容を考案できない
  2. 研修の目的となる、ICT活用の目標や課題が分からない
  3. 実施したい研修内容ははっきりしているが、準備に時間をとれない

このような問題がある場合は、外部のサポートにより解決が期待できます。

ミカサ商事では、受け身のICT支援とは異なった、積極的な推進が特徴の「ICT活用推進サポート」を提供しております。
教育現場出身のICTの専門家が、学校様のICT戦略を立案の上で、年間のアクションプランに落とし込み実行する「ICT活用推進コンサルティング」や、研修単体のご依頼を承ります。学内の活用にお悩みを感じられている場合は、ご相談ください。