デジタル教科書とは?導入する際のメリット・デメリットを解説します!

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GIGAスクール構想の実現に向けて、各学校で1人1台のデジタル学習端末の整備が進んできました。しかし、デジタル端末で効率的に授業を行うためには、ディスプレイ上で閲覧する「デジタル教科書」の存在が必要不可欠であり、学校のICT教育の次なるステージとして注目を集めています。
そこで今回の記事では、現在注目を集めているデジタル教科書とは何なのかという概要から、導入するメリットデメリット、閲覧するための具体的な方法に至るまでを詳しく解説していきます。
デジタル教科書の導入を検討している方は、ぜひ参考にしてください。

↓Chromebook でのデジタル教科書利用についてはこちら↓

Chromebook でデジタル教科書を使う方法とは?具体的な活用法を含めてご紹介 – 教育機関向けGoogle for Education 情報発信サイト

GIGAスクール構想のもと、多くの学校で Chromebook が採用されました。次に求められるのはそこで用いるソフト、つまり教科書のデジタル化です。今回の記事では、Chromebook でデジタル教科書を使うことができるか否か、それにあたって必要となる「デジタル教科書ビューア」の存在、Chromebook でデジタル教科書を活用する具体例などについて詳しく解説を行います。

デジタル教科書とは?

デジタル教科書とは、簡単に言うと「紙の教科書をそのままデジタル化したもの」です。文部科学省でも以下のように定義づけています。

学習者用デジタル教科書の要件:紙の教科書の発行者が、紙の教科書の内容を全て記録

引用: デジタル教科書に関する制度・現状について | 文部科学省

そのため、紙の教科書より情報量が少ないものではデジタル教科書とは呼べません。また、教科書として適切か否かを判断するためには、紙の教科書と同様に文部科学省による教科書検定が適用されます。とはいえ、「紙の教科書の内容を全て記録」という上記の要件を踏まえると、紙媒体の存在しないデジタルだけの教科書は現状存在し得えないため、「検定教科書のデジタル版=検定済み」と判断して問題ありません。

デジタル教科書 ≠ デジタル教材

「デジタル」という言葉から、デジタル教科書は動画や音声、アニメーションなどのコンテンツを含むものと考えられがちですが、これらは上記に引用した文部科学省の要件には含まれないため、デジタル教科書の必須項目ではありません。
反対に、教科書の内容が伴っておらず、学習を補助する動画や音声のみが含まれたものの場合は、デジタル教科書ではなく「デジタル教材」と呼ばれます。似た名称ですが異なるものを指しているため、使い分けには注意が必要です。
とはいえ、各教科書会社から出ているデジタル教科書には、プラスアルファとして動画や音声、アニメーションなどのデジタル教材が多く紐付けられています。また、今後導入が進んでいく中で、さらに多種多様なデジタル教材と紐付けされていくことが予想されます。

参考: 3.学習者用デジタル教科書について | 文部科学省

メイン教科書が紙からデジタルへ切り替わりつつある

デジタル教科書はもともと、障害などにより紙の教科書での学習が困難な児童生徒のための学習補助をする役割で導入されました。そのため、あくまで主要教材は紙の教科書であり、デジタル教科書の使用量は「各教科等の授業時数の2分の1に満たないこと」という基準が、文部科学省によって定められていました。

引用: 学習者用デジタル教科書について | 文部科学省

しかし、GIGAスクール構想によって1人1台の端末整備が急速に進んだことにより、学びの媒体も紙と鉛筆からデジタル端末へとシフトしつつあります。そのため、デジタル教科書の立ち位置も変わってきており、2020年にデジタル大臣から文部科学大臣へ「教科書については、原則、デジタル教科書にすべき」という提言がなされ、それを踏まえて文部科学省から先述の「各教科等の授業時数の2分の1に満たないこと」という基準の見直しが発表されました。これにより、デジタル教科書の立ち位置は紙の教科書のサポートをするものから、主要な学習コンテンツへと変わりつつあります。

引用: 萩生田光一文部科学大臣記者会見録(令和2年10月23日)| 文部科学省
参考: デジタル教科書の今後の在り方等に関する検討会議 | 文部科学省

デジタル教科書は2024年度に本格導入

文部科学省では、2024年度の教科書改訂を契機として、デジタル教科書の本格導入を目指しています。そして2022年現在、そのための実証実験として、全国の小中学校を対象としたデジタル教科書の無料配布が始まっています。
今後、デジタル教科書の重要性は日に日に高まり、紙の教科書を超えてメイン教材となる日も遠くありません。そのため、学校側でもデジタル教科書導入へ向けた早急な態勢づくりが求められます。

参考: ニューノーマルにおける新たな学びと必要な環境整備等について | 文部科学省

↓デジタル教科書の無料配布については、こちらの記事で詳しく解説しています。↓

デジタル教科書は無料?有料?国による無料配布の詳細などを詳しくご紹介 – 教育機関向けGoogle for Education 情報発信サイト

GIGAスクール構想に伴って1人1台の端末整備がある程度整ってきた現在、そこで使われるデジタル教科書の存在に注目が集まっています。しかし、導入するにあたってデジタル教科書が無料なのか有料なのか、その費用の詳細が気になる方も多いのではないでしょうか。 今回の記事では、デジタル教科書の導入に必要な費用から、国から発表された「デジタル教科書の無償配布」の詳細についてまでを詳しく確認していきます。

デジタル教科書の導入で得られるメリット

デジタル教科書を導入することで、紙の教科書には無かったメリットを得ることができます。ここでは、そのうち代表的なものを取り上げていきます。

読む以外のアクションが生まれ、生徒の学びが能動的になる

紙の教科書の場合、学びの基軸は教科書に書かれていることを「読む」という行為に置かれます。教科書にメモを書き込んだりマーカーを引いたりといったアクションもできますが、一度すると削除や修正ができないため、あまり推奨されていないことも多いです。
しかし、デジタル教科書の場合には、書き込みやマーキングを必要に応じて削除修正したり、重要なものは保存したりといった応用が可能となり、より能動的な学習へと繋げることが可能となります。

デジタルならではの機能により、生徒の理解が深まる

デジタル教科書の情報自体は紙の教科書と同一ですが、動画や音声、アニメーションなどの各種デジタル教材との紐付けにより、生徒の理解をより深めることが可能となります。
たとえば、英語の発音を学習する際、従来の紙の教科書では発音記号という文字情報でしか学べませんでしたが、デジタル教科書なら音声データを使って発音を学ぶことができます。また、理科の実験は写真や図表と文章を組み合わせて説明する必要があり、手順がわかりにくくなりがちでしたが、動画やアニメーションを利用することで、よりスムーズな理解を得ることができます。

生徒の学習状況を記録し、指導方法の改善に繋げられる

以上の2点は主に生徒にとってのメリットですが、デジタル教科書の導入は教員にとってもメリットがあります。その主なものが「生徒の学習状況を記録できる」という点です。
紙の教科書の場合、生徒1人ひとりの学習状況というのは可視化するのが難しく、各種テストを実施するまで把握できないことが多々あります。しかしデジタル教科書であれば、生徒の学習ログを記録して1人ひとりの学習時間を把握したり、小テストやクイズの得点集計を行ったりすることで、生徒の理解度や学習状況を逐一確認することができるようになります。こうすることで授業を進めるうえでの課題が見えやすくなり、指導方法の改善に繋げることが可能となります。

デジタル教科書の導入時に気を付けたいデメリット・リスク

デジタル教科書を導入する際、基本的にはメリットが多いものの、一部注意したい点も挙げられます。ここでは、その中でも代表的な3つのデメリット・リスクについて詳しく確認していきます。

学習目的以外の使用を制限、管理する必要がある

デジタル教科書を利用するためには、パソコンやタブレットなどのデジタル端末を利用することになります。しかし、デジタル端末を何の対策もしないままに与えてしまえば、それは生徒たちにとって「ちょっと大きめなスマートフォン」のような存在になってしまいます。そのため、適切な制限や管理をせずに運用すると、学習目的以外に端末を使用し、結果的に学習効率を低下させてしまうことにも繋がりかねません。
実際、文部科学省を含めた4省庁が合同で行ったGIGAスクール構想に関するアンケートには、教育関係者からの以下のような意見が掲載されています。

・情報モラル、情報リテラシーの周知が不可欠。
・SNSトラブルが絶えない。
・授業中に端末を利用する取組で、アニメやゲーム情報や動画サイトを見て騒ぐ生徒が居り、それにクラス全体が流されてしまうケースがある。

引用: GIGAスクール構想に関する教育関係者へのアンケートの結果及び今後の方向性について P.28 | デジタル庁 総務省 文部科学省 経済産業省

デジタル教科書を用いた適切な学習環境を整えるためには、生徒が学習目的以外で端末を使用しないよう、使用制限などを含めた管理体制を徹底することが大切です。

セキュリティ対策を施す必要がある

学習目的に則った使用であっても、デジタル端末での学習においては、デジタル教科書と連動してさまざまなウェブサイトにアクセスする必要が出てきます。その際、コンピュータウイルスに代表されるマルウェアの被害を受けないようにするためには、高いセキュリティ対策をデジタル端末に施す必要があります。
とはいえ、学校側で適切なセキュリティ対策を施すのは難しいので、できれば既に高いセキュリティ性が確保されている端末を選ぶのが得策です。

↓弊社ミカサ商事がご案内している Google Chromebook のセキュリティ性の高さについて、以下の記事で詳しく解説しています。↓

Chromebook にウイルス対策は必要か?GIGAスクール機器としての安全性、セキュリティについて徹底解説 – 教育機関向けGoogle for Education 情報発信サイト

GIGAスクール機器として注目を集めている Chromebook ですが、そのセキュリティ面が気になる方も多いのではないでしょうか。Chromebook はウイルス対策をする必要があるのか、そもそもウイルスに感染すると何が起きるのか、今記事ではそれらについて解説を行います。

ブルーライトなどの影響、健康面への配慮

デジタル端末を使用する際、そのディスプレイからはブルーライトが発生します。ブルーライトはもともと太陽光に含まれる成分なので、浴びること自体に危険はありませんが、日の出ていない時間帯に多く浴びる、長時間浴び続ける、といったことが続くと、体内時計に悪影響を及ぼす可能性があります。また、ブルーライトは強い光なので、長時間見続けると目に負担がかかり、ドライアイや目のかすみなどの不調に繋がることも考えられます。
ブルーライトの健康面への影響は、学校の授業中に使用する程度の時間であれば、それほど大きくありません。しかし、デジタル教科書の導入によって、家庭学習などでもデジタル端末を使用する機会が増えることを考えると、連続での使用時間を定めるなど、生徒の健康面に配慮した取り組みを行う必要があります。

参考: 児童生徒の健康に留意してICTを活用するためのガイドブック | 文部科学省

デジタル教科書の種類

ここまで「デジタル教科書」と一括りにしていましたが、厳密には「指導者用」と「学習者用」という2つの種類が存在します。ここではそれぞれの違いについて確認しておきましょう。

指導者用デジタル教科書

指導者用デジタル教科書とは、教員向けに開発されたもので、文部科学省の指針により学習者用に先駆けて導入されています。
指導者用デジタル教科書は情報を生徒に向けて掲示することを目的としていて、電子黒板やプロジェクターで出力するのに最適化した構成になっています。

学習者用デジタル教科書

学習者用デジタル教科書は、生徒がデジタル端末で利用することを前提に開発されたものです。ここまでの本文同様、一般的に「デジタル教科書」と呼称する場合には、前述の指導者用ではなく、こちらの学習者用デジタル教科書を指すことが多いです。
基本的な掲載情報は紙の教科書と同じですが、デジタル端末での使用に最適化されているため、さまざまな機能が搭載されています。各出版社、各科目によって詳細は異なりますが、主な機能は以下の通りです。

書き込み機能教科書本文にメモを書き加えたり、マーカーで線を引いたりすることができます。
保存機能書き込み機能で追加した内容を保存し、後から見返したり、複数のデータをまとめたりすることができます。
印刷機能教科書内容を紙に印刷することができます。その際、書き込みをした内容も合わせて印刷が可能です。
拡大機能画面の一部分を拡大したり、本文の文字を大きなフォントに変更したりすることができます。
参考資料機能教科書内容に関連する画像や図表、動画などの参考資料にアクセスすることができます。
音声再生機能英語の発音や、国語の文章の朗読などを音声として再生することができます。
作図・描画機能数学や理科系の科目において、デジタル上で定規やコンパス、分度器などを使って作図・描画を行うことができます。
2画面表示機能ディスプレイの左右に別画面を表示させ、それぞれを見比べながら学習を行うことができます。

デジタル教科書を閲覧するための方法

タブレットやパソコンなどのデジタル端末でデジタル教科書を閲覧するためには、専用の「デジタル教科書ビューア」が必要です。ここでは、デジタル教科書ビューアを選ぶ際の注意点と、代表的なビューアの種類について確認しておきましょう。

デジタル教科書ビューアごとに対応が異なるので注意

デジタル教科書は各教科書会社が出していますが、デジタル教科書ビューアは別会社によって提供されており、それぞれのビューアによって対応しているデジタル教科書が異なるので注意が必要です。
デジタル教科書ビューアは今後増えていくことが予想されますが、現在では以下のビューアが代表的です。それぞれの対応教科書を踏まえて、適切なビューアを導入しましょう。

デジタル教科書ビューア対応デジタル教科書対応OS(ブラウザ、クラウド利用の場合)
※最新バージョン推奨
まなビューア光村図書
大日本図書
日本文教出版
開隆堂出版
教育芸術社
Windows OS
Chrome OS
iOS


超教科書新興出版社啓林館
帝国書院
大修館書店
Windows OS
Chrome OS
iOS


Lentrance Reader東京書籍
桐原書店
教育図書
教育同人社
文英堂
学校図書
明治書院
実教出版
信教出版
Z会
くもん出版
フレーベル館
ポプラ社
清水書院
誠文堂新光社
いいずな書店
Windows OS
Chrome OS
iOS


※対応教科書やOSの状況は、記事作成時点(2022年3月)の情報です。今後各ビューアの対応状況が変更となる可能性もあるので、導入の際には各デジタル教科書の公式HPなどから最新情報を確認するようにしてください。

デジタル教科書の導入は早めの対応がおすすめ

GIGAスクール構想が進んで1人1台の端末整備が整ってきている現在、デジタル教科書の重要性は日に日に高まっています。2022年度には小中学校での無償配布も始まり、今回対象でない高校においても、遠からずデジタル教科書の普及率が高まっていくことが予想されます。
いずれにせよデジタル教科書の導入が行われるのであれば、早めに導入準備を行うに越したことはありません。今回ご紹介したことを参考に、貴校に合ったデジタル教科書を選び、より効率的なICT教育に役立てていただければ幸いです。

ミカサ商事では、これまでに400校以上の学校様に Chromebook や Google Workspace for Education の導入などICT教育に関する支援をして参りました。導入後の運用や活用方法に関するご相談もお受けしておりますので、Chromebook 導入をご検討の学校様はぜひミカサ商事にお任せください。

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