Chrome Education Upgrade とは? Chromebook の MDM を徹底解説【学校向け】

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「Chrome Education Upgrade」という名称をご存知でしょうか。Chromebook が、管理が容易で運用にかかるコストが削減でき、セキュリティが堅固で学校現場に適したタブレットPCであることは、昨今よく知られた事実です。しかし、その優位点を最大限発揮するために必要なのが Chrome Education Upgrade というライセンスであることや、その詳細についてよく知っている方は一部ではないでしょうか。本記事では、特に学習者用端末として Chromebook の導入を検討する際には必ず知っておきたい Chrome Education Upgrade の詳細について解説していきます。

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購入は必要?Chrome Education Upgrade あり/なしの違いを実際の場面を元に解説【学校向け】

Chromebook を一括管理できる「Chrome Education Upgrade(CEU)」は、本当に必要なのでしょうか? CEU なしでの導入を検討されている学校様向けに、CEU を購入した場合と購入しなかった場合でどのような違いがあるのか、学校での具体的な場面を元に解説します。

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目次

Chrome Education Upgrade(CEU)とは

Google 純正の Chromebook 用の MDM

Chrome Education Upgrade (クローム・エデュケーション・アップグレード、CEU)とは、 Chromebook を開発した Google 純正の MDM(端末管理ツール)です。学内の Chromebook を一括で管理することができ、安全性の向上などの対策が可能になります。
本記事では、Chrome Education Upgrade を以下「CEU」と表記いたします。

Chrome Education Upgradeを使えば Chromebookを一括管理できる

MDM とは一般的に何を指すのか?

「MDM」という単語に馴染みがない先生向けに、MDMとは何かを説明いたします。
MDMとは、「Mobile Device Management」の略であり、複数のパソコンやタブレットなどの端末を、組織的に一元管理するためのツールの総称です。

MDMを利用して行えることの例

一般的に、MDMは以下のような管理や制御を行うために利用されています。

  • 紛失や盗難時に遠隔でロックをかける
  • 使用できるアプリケーションを制限する
  • 端末のアップデート状況を管理する

上記はほんの一例ですが、内容から想像できる通り、企業で業務用パソコンを管理する際にも使われています。

Chrome Education Upgrade(CEU) の特徴

MDM は組織内のパソコンやタブレットを管理するためのツールであり、CEU はその1つであることをご理解いただけたかと思います。
それでは、CEU ならではの特徴はどのようなものがあるのでしょうか?

  • 純正なので Chromebook への適合性が高い
    CEU は、Chromebook の開発元である Google が自ら提供している純正の MDM です。これにより、サードパーティ製(純正ではないもの)の MDM よりも、Chromebook に適合するよう設計されています。特別な理由がない限り、Chromebook の MDM としては CEU を採用することが推奨されています。
  • 学習者用端末として適切な設定が利用できる
    「紛失時に遠隔で操作ロックをかける」といった、企業でも必要とされる事項はもちろん、学習者用端末として教育機関で利用するために役立つ設定が用意されています。
    例えば、学習に関係のないアプリケーションはインストールできないようにしたり、学校で作成したアカウント以外では Chromebook にログインできないようにしたり、危険性が高いと判断された Webサイトへのアクセスを制限するなどの設定ができます。
    Chromebook 自体が当初「教育機関向け」をコンセプトに開発された端末であることから、設定項目にも安全に利用するための配慮が反映されているといえるでしょう。
  • Google Workspace for Education と同じ「管理コンソール」上で設定できる
    後述の「管理コンソール」とは別物なのか?でも解説しますが、CEU を導入することによって、「管理コンソール」上で Chromebook も管理することができるようになります。
    管理コンソールは Google Workspace for Education の管理設定で使用する無料のツールですが、既に Google Workspace for Education を利用している教育機関にとっては、学習者用端末として Chromebook を採用すれば同じツール上で一括管理できます。この親和性の高さにより、管理工数の削減と、直感的な操作が可能になります。

Chrome Education Upgrade(CEU)の購入は必要?

Chromebook を学習者用端末として導入する場合、CEU の購入は必須と考えてよいでしょう。CEU の必要性については以下の記事で詳しく解説しています。↓

購入は必要?Chrome Education Upgrade あり/なしの違いを実際の場面を元に解説【学校向け】

Chromebook を一括管理できる「Chrome Education Upgrade(CEU)」は、本当に必要なのでしょうか? CEU なしでの導入を検討されている学校様向けに、CEU を購入した場合と購入しなかった場合でどのような違いがあるのか、学校での具体的な場面を元に解説します。

文部科学省のガイドラインでは CEU のようなツール導入が不可欠とされている

文部科学省は、「児童生徒1人1台端末の時代における教育情報セキュリティ」としてMDM の利用を不可欠とする方向性を出しています。

文部科学省のセキュリティガイドラインに「MDMの利用」が不可欠という旨が記載されている

MDM(Mobile Device Management)の利用
児童生徒用の1人1台端末は、MDM(Mobile Device Management)等を活用し一元的に管理を行うことが必要です。
―引用:「教育情報セキュリティポリシーに関するガイドライン」 (令和4年3月版) ハンドブック- 文部科学省

Google for Education の他の概念との関係

過去に何度か名称変更している?他の用語との混同に注意

Chrome Education Upgrade は、その頭文字をとって「CEU(シーイーユー)」と略されることもあります。
CEU は過去に何度か名称変更がされていたり、様々な名称で情報が出回っていたりしますが、以下の用語は現在の CEU と同じものを指しています。

Chrome Education Upgrade(CEU)と同一のものを指す用語

  • Chrome Management Console(クローム・マネジメント・コンソール、CMC)
  • Chrome Education License (クローム・エデュケーション・ライセンス)
  • Chrome Education Upgrade perpetual license term(クローム・エデュケーション・アップグレード パーペチュアル・ライセンス・ターム)

Chrome Education Upgrade と混同しがちな他の用語

  • Google Workspace for Education (グーグル・ワークスペース・フォー・エデュケーション)
    Google Workspace for Education は、Google ドライブや Gmail、Google ドキュメントなどのアプリケーションが含まれる、基本無料のツールセットです。ログインID は Gmail のメールアドレスであり、学校で Google Workspace for Education のメールアドレスを発行すると、生徒はGoogle アカウントとして使用できます。
  • Teaching and Learning Upgrade ライセンス(ティーチング・アンド・ラーニング・アップグレード)
    Google Workspace for Education には、無料の「Google Workspace for Education Fundamentals」の他に、3種類の有償のエディションが用意されています。そのうちの一つが「Teaching and Learning Upgrade」です。CEU とは「Upgrade」の部分が一致しているので混同しやすいですが、全く別物ですので注意が必要です。
    有償エディションには、「Teaching and Learning Upgrade」のほか、「Education Standard」と「Education Plus」があります。
  • Chrome Enterprise Upgrade(クローム・エンタープライズ・アップグレード)
    こちらも略して同じく「CEU」と呼ばれていますが、「Chrome Education Upgrade」が教育機関向けライセンスなのに対し、「Chrome Enterprise Upgrade」は企業向けライセンスの名称です。学校法人や教育機関でない一般企業はこちらを購入しますが、中身は同等です。大きく異なるのは価格で、企業向けライセンスは教育機関向けの2倍以上の標準価格になっています。

↓Google Workspace for Education の各エディションの解説はこちら

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CEU は Google Workspace for Education のアカウントと何が違う?

学習者用端末として Chromebook を使う際に必要になるのが、Google Workspace for Education のアカウント(Google アカウント)です。Chromebook を購入する際に、メーカーや販売店から「Chrome Education Upgrade が必要」という話を聞き、無料の Google Workspace for Education のアカウントとは異なるのか? という疑問を抱かれたご担当者様もいらっしゃるのではないでしょうか。
結論から言うと、CEU は Google Workspace for Education のアカウントとは異なります。Google Workspace for Education のアカウントは、Gmail や Google ドライブを使ったり、Chromebook にログインする際に必要になります。一方、CEU は Chromebook を管理したり、Chromebook に設定を反映させたりするために必要なものです。

「管理コンソール」とは別物なのか?

Chromebook の管理設定というと、「管理コンソール」の存在も重要です。CEU は管理コンソールとは違うのか?というご質問もよくいただきます。結論としては、「管理コンソール」とは別ですが、密接に関連しています。両者の関係は、CEU を購入することで、管理コンソールでできる設定の範囲が広がるというイメージです。

Chrome Education Upgrade を導入すると管理コンソールで Chromebook の管理・設定も新たに利用できるようになる

元々、管理コンソールは アカウント作成などをはじめ、Google Workspace for Education の管理設定を行うために無料で使えるツールです。Chromebook を使っていなくても、Google Workspace for Education を導入していれば、管理コンソールは自然と利用されているはずのものです。そこへ、Chromebook 導入時に CEU を紐づけることで、管理コンソール上で Chromebook の管理もできるようになります。
学習用のクラウドサービスである Google Workspace for Education と、学習用端末の Chromebook の両方が同じツールで管理できるので、管理の手間も大いに削減できます。

管理コンソールとは?をおさらいしたい場合はこちら↓

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Chrome Education Upgrade (CEU)のライセンス形態

端末1台ごとに買い切りで半永続的に利用可能

CEU は、月額や年額などの継続的な課金が必要なライセンスではありません。Chromebook 1台に対して、1度購入すれば半永続的に Chromebook を管理できます。「半」永続的と表現している理由については、次の項目で解説します。

Chrome Education Upgrade(CEU) の期限はいつまで? AUE の概念を理解しよう

厳密には、CEUの ライセンス自体の有効期限は存在しません。つまり、ライセンス自体は永続的に有効です。ただし、Chromebook 本体側の「自動更新ポリシー:AUE」と呼ばれる期限が切れると、CEU による管理にも一部影響が生じます。
AUE の期限が切れると、OS の自動更新やセキュリティアップデートが停止しますが、そのほかに、新しく追加された管理コンソール上の機能や、既存のポリシーが想定通りに機能しなくなる場合があります。そのため、AUE の期限が切れた Chromebook では、CEU を付与していても一部利用できない機能が出てくる可能性があります。

AUE に達していない Chrome デバイスでは引き続き OS が更新され、Chrome Education Upgrade および Chrome Enterprise Upgrade との連携機能が適用されます。AUE に達した後は、既存のポリシーと今後設定されるポリシーが想定どおりに機能しなくなる可能性があるほか、技術サポートも提供されなくなります。
Google Chrome Enterprise ヘルプ-「自動更新ポリシー」より引用

AUEは、Chrome OS が自動的に最新状態に保たれる期間を指しており、Chromebook の型番ごとに Google によって定められています。一般的に、対象の型番の Chromebook が世界で発売されてから最長8年間となっています。

具体的にイメージするために、下記の例を元に考えてみましょう。

  1. CEU ライセンスA は永続的に有効。Chromebook A のAUE は、「2026年6月」、一方 Chromebook B の AUE は、「2027年6月」と決められている。
  2. 2025年6月に、CEU ライセンスA を、Chromebook A に紐づけた。また、 CEU ライセンスB を、Chromebook B に紐づけた。Chromebook A も B のどちらもAUE 期間内なので、CEU を利用した管理設定(ポリシー)が問題なく適用される。そのまま1年間利用。
  3. Chromebook AのAUE である2026年6月となった。これ以降、CEU を利用した管理設定(ポリシー)は、Chromebook A に適用されなくなる可能性がある。
  4. 一方、Chromebook B’はまだ2027年6月までAUE期限が残っているので、引き続き CEU を利用した管理設定(ポリシー)が適用される。

少し複雑に感じられる方もいらっしゃるかもしれません。しかし、結論を言いますとそこまで気にしなくても大丈夫です。CEU は一度購入すれば Chromebook 本体側の期限の限り有効であると認識していただいて問題ありません。

CEU 1ライセンスで Chromebook を何台管理できる?

CEU 1ライセンスで複数の Chromebook を管理することはできません。管理対象としたい Chromebook 1台ごとに、それぞれ1ライセンスの CEU の購入が必要です。しかし、見方を変えると、管理対象としたい Chromebook の台数分だけ CEU を購入することができます。MDM によっては、管理対象としたい端末の数に関わらず、組織の人数分のライセンス購入が必要となるものもあるので、CEU は柔軟性が高いライセンス形態と言えます。

Chrome Education Upgrade (CEU)の費用と購入方法

Chrome Education Upgrade(CEU) の標準価格

2021年12月現在、日本国内での CEU の標準価格は「1ライセンスで 4,200円(税抜)」です。こちらはあくまで標準価格ですので、販売元によって実際の販売価格は異なります。また、Chromebook 本体と CEU の他に、本体と CEUを紐づける設定作業が必要となり、出荷前に販売元が実施することが一般的ですので、その設定作業費が必要となる場合が多いでしょう。

Chrome Education Upgrade(CEU) の購入方法

資格を有する Google for Education 認定パートナー企業からのみ購入可能

CEU は、特定の企業からのみ購入することができます。特定の企業とは、Google に教育機関向け販売パートナーとして公式に認定されている販売店を指します。家電量販店などでは取り扱っていない可能性がありますので、注意が必要です。
↓簡単な見分け方としては、下のようなパートナーバッジを持っている企業であれば基本的に取り扱っていると考えられます。認定パートナー企業を探したい場合は、企業に販売資格の有無を問い合わせるか、認定パートナー企業の紹介を Google に依頼することもできます。
本サイト “G-Apps.jp” を運営するミカサ商事は国内で一番初めの認定パートナーですので、CEU をもちろん取り扱っております!

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Chromebook と同時購入でなくても Chrome Education Upgrade を導入できる?

ここまでで、CEU は、Chromebook 本体とは用意する必要があることをご理解いただけたかと思います。しかし、CEU の存在を知らないまま Chromebook を購入した場合など、既に Chromebook 本体のみ保有しているケースもあるでしょう。そのような場合、CEU のみ購入することは可能です。
ただし、Chromebook を既に使用している場合は、CEU を後付けで紐づける際に本体の初期化が必要となりますので、データのバックアップなどの対応が必要になります。とはいえ、Google ドライブにアップロードされたファイルは消えませんので、Chromebook の場合は、カメラロールなどローカルストレージに保存されている一部のデータを Google ドライブにアップロードしておく程度の対応で済むでしょう。

この場合、CEU の販売と同時に既存の Chromebook への設定作業も依頼することができるかは、販売店によって異なりますので、対応可否の確認は必要です。

Chrome Education Upgrade の導入についてはご相談ください

ミカサ商事では、本記事で解説した Chrome Education Upgrade や Chromebook の教育機関向け導入に多くの実績を有しております。また、Chrome Education Upgrade で反映させたい設定内容のアドバイスや、設定代行も承っております。200項目以上ある管理コンソールの設定項目の中から、教育機関向けに適切な設定をご案内し、ご要望に応じた設定を実施します。

導入時の注意点を踏まえて迅速な導入に向けてご支援いたしますので、お気軽にご相談ください。

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