Chromebook でデジタル教科書を使う方法とは?具体的な活用法を含めてご紹介

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GIGAスクール構想のもと、学校のデジタル学習端末の導入整備が進み、多くの学校で Google Chromebook が採用されました。そのように学習ハードとしての端末整備が進んだ今、次に求められるのはそこで用いるソフト、つまり教科書のデジタル化です。しかし、デジタル教科書を導入するにあたって「Chromebook でデジタル教科書は使えるのだろうか?」と不安になった方も少なくないと思います。
そこで今回の記事では、 Chromebook でデジタル教科書を使うことができるか否か、それにあたって必要となる「デジタル教科書ビューア」の存在、Chromebook でデジタル教科書を活用する具体例などについて詳しく解説を行います。
Chromebook を導入している学校担当者の方は、ぜひ参考にしてください。

Chromebook でデジタル教科書は使えるのか?

Chromebook は文部科学省の推奨するデジタル端末の1つなので、もちろんデジタル教科書を使うことができます。ただし、デジタル教科書を閲覧するためには専用の「デジタル教科書ビューア」が必要であり、Chromebook に搭載されている Chrome OS に対応していないビューアの場合は使うことができないので、導入の際には注意が必要です。
詳しくは後述しますが、2022年3月現在、主要な3つのビューアは Chrome OS でのブラウザ・クラウド利用に対応しています。しかし、その他のビューアについては詳細が日々更新されているため、実際に導入する際には各ビューア、教科書会社の公式ホームページを事前に確認するようにしましょう。
それでは、Chromebook でデジタル教科書が使えることがわかったところで、そもそもデジタル教科書とは何なのか、そしてそれを閲覧するためのデジタル教科書ビューアとは何なのか、それぞれの概要について確認しておきましょう。

デジタル教科書とは?

一括りにデジタル教科書といっても、実際は「指導者用デジタル教科書」と「学習者用デジタル教科書」に分かれていて、それぞれ以下のように詳細が異なっています。

指導者用デジタル教科書

教員が指導の中で活用するために開発されたもので、学習者用デジタル教材に先駆けて既に多くの学校で導入されおり、文部科学省の公表データによると、2021年3月時点で67.4%の学校で整備されています。
指導者用デジタル教科書は、教科書内容を生徒が見やすいかたちで掲示することを主な目的としていて、電子黒板やプロジェクターで教科書の紙面や図表などを拡大させることに最適化しています。
参照: 令和2年度学校における教育の情報化の実態等に関する調査結果(概要)P.7 | 文部科学省

学習者用デジタル教科書

学習者用デジタル教科書とは、簡単に言ってしまえば「紙の教科書の内容をそのままデジタルデータに置き換えたもの」です。文部科学省でも、以下のように要件が定められています。

学習者用デジタル教科書の要件:紙の教科書の発行者が、紙の教科書の内容を全て記録

引用: デジタル教科書に関する制度・現状について | 文部科学省

デジタル教科書に含まれる基本的な情報は紙の教科書と同様であるものの、デジタルならではの特徴として、文字の拡大やメモの書き込み、デジタル教材と紐付けることによる動画やアニメーションといった参考資料の視聴など、さまざまな機能を利用することができます。
生徒1人に1台というICT教育環境が整ってきている現在、次なるステップとして学習者用デジタル教科書の導入に注目が集まっています。しかし、先ほどの指導者用デジタル教科書の整備率が2021年3月時点で67.4%だったのに対し、学習者用デジタル教科書は6.2%とまだまだ普及には至っていません。
そのため、現在では国主導による学習者用デジタル教科書の普及推進が大規模に行われており、2022年度には小中学校での無償配布、2024年度には本格的な導入が始まる見込みです。

参照:
令和2年度学校における教育の情報化の実態等に関する調査結果(概要)P.7 | 文部科学省
(資料2)デジタル教科書普及促進事業(概算要求)| 文部科学省

↓学習者用デジタル教科書について詳しくは、こちらの記事で解説しています。↓

デジタル教科書とは?導入する際のメリット・デメリットを解説します! – 教育機関向けGoogle for Education 情報発信サイト

GIGAスクール構想の実現に向けて、各学校で1人1台のデジタル学習端末の整備が進んできました。しかし、デジタル端末で効率的に授業を行うためには、ディスプレイ上で閲覧する「デジタル教科書」の存在が必要不可欠です。そこで今回の記事では、現在注目を集めているデジタル教科書とは何なのかという概要から、導入するメリットデメリット、閲覧するための具体的な方法に至るまでを詳しく解説していきます。

デジタル教科書ビューアとは?

デジタル教科書ビューアとは、「ビューア(viewer)」という名前の通り、デジタル教科書を閲覧するためのソフトのことです。とはいえ、ここでいう「閲覧する」というのはデジタル端末のディスプレイ上のことであるため、電子黒板などに映し出す指導者用デジタル教科書については対象とされません。このように、一般的には「デジタル教科書=学習者用デジタル教科書」という意味合いで使われることがほとんどであるため、この記事でも今後はそのように呼称していきます。

デジタル教科書とビューアの関係

デジタル教科書は、従来の紙の教科書と同様にさまざまな教科書会社から出版されています。そして、それぞれの教科書会社ごとに採用しているビューアが異なっているため、自校で採用するデジタル教科書に合わせたビューアを導入する必要があります。
デジタル教科書とビューアの関係は、身近なところでたとえると、映画と動画サブスクリプションサービスのようなものです。
ある映画を観たい場合、それが Prime Video にはあるけれども Netflixにはない、他社にはないのに Hulu でだけ独占配信している、などといった具合に、それぞれの映画と各サブスクリプションサービスとの間には、あらかじめ視聴可能かどうかの関係が定まっています。
観たい映画によって契約する動画サブスクリプションサービスを選ぶのと同様に、デジタル教科書ビューアも、使いたいデジタル教科書に応じて選び分ける必要があるのです。

代表的なデジタル教科書ビューア

2022年3月現在、大半の教科書会社は「まなビューア」「超教科書」「Lentrance Reader」という3つのビューアのいずれかを採用しています。ただし、中には自社独自のビューアを採用している教科書会社もあり、今後それぞれのビューアの住み分けが変わったり、新しいビューアが出てきたりする可能性も十分考えられます。そのため、実際に導入する際には事前に各教科書会社のホームページを確認し、間違いのないよう十分注意をする必要があります。
以下の表は、代表的な3つのビューアと、それぞれの対応しているデジタル教科書、OSに関してまとめたものです。デジタル教科書を導入する際の参考として活用してください。

デジタル教科書ビューア対応デジタル教科書対応OS(ブラウザ、クラウド利用の場合)
※最新バージョン推奨
まなビューア光村図書
大日本図書
日本文教出版
開隆堂出版
教育芸術社
Windows OS
Chrome OS
iOS


超教科書新興出版社啓林館
帝国書院
大修館書店
Windows OS
Chrome OS
iOS


Lentrance Reader東京書籍
桐原書店
教育図書
教育同人社
文英堂
学校図書
明治書院
実教出版
信教出版
Z会
くもん出版
フレーベル館
ポプラ社
清水書院
誠文堂新光社
いいずな書店
Windows OS
Chrome OS
iOS


※対応教科書やOSの状況は、記事作成時点(2022年3月)の情報です。今後各ビューアの対応状況が変更となる可能性もあるので、導入の際には各デジタル教科書の公式HPなどから最新情報を確認するようにしてください。

Chromebook でデジタル教科書を活用する具体例

デジタル教科書は、上手く活用することで紙の教科書に比べて多くのメリットを得ることができます。ここでは、Chromebook でデジタル教科書を活用した際に得られるメリットの具体例について紹介していきます。

生徒の学習環境の効率化

GIGAスクール構想のもと、多くの学校で1人1台のデジタル端末整備が進んでいます。その結果、学びの主軸が「紙+ペン」から「Chromebook などのデジタル端末」に移行してきたものの、未だにそれぞれを使い分けながら授業を行っているのが実情です。その結果、教科書は紙媒体で確認し、問題演習やテストは端末上で受けるといった状態になっており、学習の過程で無駄が生まれてしまいがちです。
その点、デジタル教科書を導入すれば、教科書の閲覧から板書のメモ取り、問題演習やテスト解答に至るまで、一連の学習過程を Chromebook 端末上で一元化することができます。これにより、生徒の学習における無駄を大きく省くことができ、より効率的な学習環境を作り出すことが期待できます。

文字以外の情報によって生徒の理解が深まる

紙の教科書の場合、情報の多くは文字情報に委ねられています。しかし、デジタル教科書の場合は各種デジタル教材と紐付けを行うことにより、音声や動画、アニメーションなど、文字以外のさまざまな情報も合わせて利用することが可能です。
これらの情報を有効活用すれば、たとえば英語であれば発音についても自分1人で学習することができるようになります。また、理科であれば動画で実験過程を確認することができたり、音楽であれば作曲家と楽曲を文字・写真・音を合わせて覚えることができたりと、生徒の各教科に関する理解をより一層深いものにすることが可能となります。

生徒の学習状況を記録管理し、より高い授業効果を得られる

デジタル教科書を使うことで、生徒の学習ログを記録することができるようになります。そのデータを活用すれば、生徒1人ひとりの学習状況を記録したり、習熟度別にグループ管理したりすることができ、それに応じて今後の指導方法を適宜修正することが可能です。
その結果、たとえば同じ教室内であっても、上位グループと下位グループとで扱う内容を変えて演習を行ったり、習熟度に応じてテストを行ったりする際の指標とすることができ、より効率的かつ効果的な授業を行うことに繋がります。

Chromebook でデジタル教科書を活用し、より効率的なICT教育を

繰り返しになりますが、Chromebook でデジタル教科書を使うことはもちろん可能です。しかし、デジタル教科書を閲覧するためには適切なビューアを用いる必要があり、そのすべてが Chromebook に対応しているとは言い切れないので、導入前に確認を行うことが大切です。
Chromebook によるハードのデジタル化と、デジタル教科書によるソフトのデジタル化を合わせることで、従来の紙の教科書でのアナログな教育では見えなかった部分が見えるようになり、より高い水準の教育へと繋がることが期待できます。
今回の記事の内容を参考に、貴校に合ったデジタル教科書を導入・活用し、より効率的なICT教育を実現していただければ幸いです。

ミカサ商事では、これまでに400校以上の学校様に Chromebook や Google Workspace for Education の導入を支援して参りました。Chromebook 導入をご検討の学校様は、ぜひミカサ商事にお任せください。

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