Google Workspace for Education の年度更新とは?必要な作業手順について解説します

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GIGAスクール構想の推進にあたって、1人1台の端末・1人1つのクラウドツール アカウントが学校で使用されるようになりました。それに伴い、年度の切り替わり時には、これまで無かった「アカウントの年度更新」という作業が必要となります。
今記事では、GIGAスクール構想で半数以上の自治体で導入された Google Workspace アカウント、Chromebook 端末それぞれの年度更新に必要な作業手順について、詳細に確認していきます。また、それらの作業負担を軽減するツールとして「eG Class(イージークラス)」を紹介しますので、ぜひ参考にしてください。

アカウントの年度更新とは?

従来のコンピュータ室管理の場合、据え置きの端末を生徒が交代で使っていたため、年度が切り替わっても端末の設定を変える必要はありませんでした。しかし1人1台の端末・1人1つのアカウントを運用する場合は、生徒1人ひとりに合わせてアカウントの設定を更新する必要があります。

文部科学省が示した「年度更新タスクリスト」によると、年度更新は以下の4つの観点から検討する必要があるとされています。

  • アカウント(ID)の更新
  • 端末の更新
  • データの取扱い
  • 組織体制の整備

参考: GIGA スクール構想 年度更新タスクリスト | 文部科学省

卒業して端末・アカウントが不要になるケース、入学することで新しく必要になるケース、学年が代わって所属が変わるケースなど、年度の切り替わりに伴い、それぞれの生徒の立ち位置が変わります。年度更新を行う際は、それらを踏まえたうえで対応を行う必要があります。

Google Workspace for Education アカウントの年度更新の手順

Google Workspace for Education アカウントの更新は、生徒の学年によって対応手順が異なり、「卒業生の場合」「新入生の場合」「進級する場合」の3パターンに分かれます。それぞれ詳しく確認していきましょう。

アカウントの年次更新の手順の前に、管理コンソールでのアカウント管理についての概要をおさらいしたい場合はこちら↓

Google Workspace のアカウント設定・管理 導入担当者は管理コンソールを理解しよう

Google Workspace は、企業や教育機関がオンライン上で業務にあたる際、業務効率化や生産性向上に役立つツールの1つです。企業や教育機関が日常的に行っている、情報共有やコミュニケーション、ウェブ会議、タスク管理などをシームレスかつ安全に管理できます。本記事では、Google Workspace におけるアカウントの設定・管理・更新や管理コンソールについてご紹介していきます。

卒業生のアカウントの処理

学校で作ったアカウントは、個人の Gmail アカウントなどに変換することはできません。そのため、卒業予定の生徒のアカウントは、削除あるいは停止をする必要があります。
アカウントを削除した場合は、作成したグループなどを除き、生徒のデータはすべて削除されます。一方、アカウントを停止した場合は生徒のデータは引き続き保持され、いつでも再開することが可能です。しかし、Google Workspace for Education の有償エディションのライセンスが割り当てられたアカウントを残しておくと、停止状態でも課金の対象となります。そのため、卒業生のアカウントを残して置く場合には、有償のライセンスの割り当てを解除しておくことをおすすめします。
アカウントの削除、停止の手順の主な流れは以下の通りです。

アカウントの削除

  1. 管理者アカウントで「Google 管理コンソール」にログイン
  2. [ユーザー] にアクセスし、リストから目的の生徒を探す
  3. 削除する生徒アカウントを選択し、[ユーザーを削除] [その他] → [ユーザーを削除] をクリック<複数のアカウントを一括で削除する場合>
    対象のアカウント全てのチェックボックスにチェックを入れた状態で、右上にある [その他のオプション] → [選択したユーザーを削除] をクリック
    ※ 削除対象のアカウントがすべて同じ組織部門に属している場合は、左側でその組織部門を選択すると、組織内のアカウントが一覧で表示されるので、一括操作がしやすくなります。
  4. [ユーザーを削除] をクリックして完了

参考: 組織からユーザーを削除する | Google Workspace 管理者 ヘルプ

アカウントの停止

  1. 管理者アカウントで「Google 管理コンソール」にログイン
  2. [ユーザー]にアクセスし、リストから目的の生徒を探す
  3. 停止する生徒アカウントを選択し、[その他] → [ユーザーを停止] をクリック
  4. [停止] をクリックして完了

※複数のユーザーをまとめて停止したい場合は、下記の「新入生のアカウント作成」の手順と同様、CSVファイルを利用するとスムーズです。その場合、CSVテンプレートの [Nrw Status] 列には [Suspended] と入力します。

参考: ユーザーを一時的に停止する | Google Workspace 管理者 ヘルプ

※「卒業後の学習に利用する」「思い出として残しておきたい」などの理由から、アカウント内にあるドキュメントなどのデータを別のアカウントに移行したい場合は、管理者の許可を与えたうえで「Google データ エクスポート」を使用します(18歳未満の生徒の場合は保護者の同意が必要)。Google データ エクスポートの使用方法について、詳しくは下記ヘルプページを参照してください。

参考:卒業予定の生徒にデータの移行を許可する | Google Workspace 管理者ヘルプ

新入生のアカウント作成

新入生のアカウントを追加する場合、Google 管理コンソールを使い、新しいユーザーとして登録する必要があります。とはいえ、1人ひとりを個別に追加するのは煩雑なので、基本的にはスプレッドシートで一括作成し、CSVファイルとしてアップロードする手順を取ります。手順の主な流れは以下の通りです。

  1. 管理者アカウントで「Google 管理コンソール」にログイン
  2. [ユーザー] をクリック
  3. ページ上部にある [ユーザーの一括アップロード] をクリック
  4. [空のCSVテンプレートをダウンロード] をクリックし、ファイル(.csv)をダウンロード
  5. ダウンロードしたテンプレートファイルに生徒の氏名やEメールアドレなどの必須事項を入力
  6. ファイルを保存
  7. [ユーザー] ページ上部の [ユーザーの一括アップロード] にアクセスし、[CSVファイルを添付] をクリック
  8. [アップロード] をクリックして完了

参考:CSV ファイルから複数のユーザーを追加または更新する | Google Workspace 管理者 ヘルプ

進級に伴うアカウント情報更新

CSVでの一括情報更新

進級に伴ってアカウントの基本情報を更新する必要がある場合は、以下の手順で一括更新できます。

  1. 管理者アカウントで「Google 管理コンソール」にログイン
  2. [ユーザー] をクリック
  3. [ユーザー] のリスト左上にある > をクリックし、組織ツリーを開く
  4. 現在生徒が所属しているクラスなどの組織をクリック
  5. ページ上部にある [ユーザーの一括更新] をクリック
  6. ユーザー情報をダウンロードし、スプレッドシートで開く
  7. [Org Unit path] 列の内容を新しいクラスなどに更新し、ファイルを保存
  8. [ユーザー] ページ上部の [ユーザーの一括アップロード] にアクセスし、[CSVファイルを添付] をクリック
  9. [アップロード] をクリックして完了

参考: 組織部門へのユーザーの移動 | Google Workspace 管理者 ヘルプ
参考: CSV ファイルから複数のユーザーを追加または更新する | Google Workspace 管理者 ヘルプ

アカウントの所属組織を変更する

管理コンソールで「●年●組」などのクラス別の組織を設けている場合は、アカウントを旧クラスから新クラスの組織に移動するなどの作業が必要です。その場合は、以下の手順でアカウントが所属する組織を変更します。

  1. 管理者アカウントで「Google 管理コンソール」にログイン
  2. [ユーザー] をクリック
  3. [ユーザー] のリスト左上にある [>] をクリックし、組織ツリーを開く
  4. 現在生徒のアカウントが配置されている組織をクリック
  5. [ユーザー] のリストから移動させたい生徒のアカウントを選び、チェックボックスをオンにする
  6. 上部にある [その他] をクリックし、続いて [組織部門を変更] をクリック
  7. ダイアログボックスから新しい組織(クラスなど)を選択し、[続行] をクリック
  8. [変更] をクリックして完了

参考: 組織部門へのユーザーの移動 | Google Workspace 管理者 ヘルプ

Chromebook の年度更新の手順

Chromebook の年度更新を行う際、その端末が生徒に貸与している端末なのか、生徒の所有物である端末なのかによって、対応手順が異なります。それぞれ詳しく確認していきましょう。

貸与端末の場合

自治体や学校が購入した端末を生徒に貸与している場合は、卒業した生徒から端末を回収し、新入生に割り当てをします。その際、卒業生のデータが端末に残らないよう、端末の初期化をしたうえで再割り当てを行う必要があります。

卒業生の端末の処理

卒業生の端末を回収する際は、データが残らないように初期化を行います。
ただし、[初期状態へのリセット] を行ってしまうと、端末が出荷時の状態にまで初期化されてしまうため、再割り当てをする際に再度登録を行う必要が生じます。一方、[ユーザープロフィールをクリア] であれば、デバイス ポリシーと登録は保持されたまま、卒業生のデータだけを削除することが可能です。
そのため、新入生への再割り当てを行う前提であれば、[初期状態へのリセット] ではなく [ユーザープロフィールをクリア] で初期化することが推奨されます。
具体的な手順は以下の通りです。

  1. 管理者アカウントで「Google 管理コンソール」にログイン
  2. [デバイス] → [Chrome 管理] の順に移動
  3. [デバイス] をクリックし、再割り当てする端末のシリアル番号をクリック
  4. 左側にある [リセット] をクリック
  5. [ユーザープロフィールをクリア] をクリックして完了

参考: デバイスを別のユーザーに再割り当てする | Chrome Enterprise and Education ヘルプ

新入生の端末割り当て

貸与端末を新入生に割り当てる際は、特に登録などは必要ありません。上記処理をしても学校の管理状態は解除されないままになっているので、新入生のアカウントで端末にログインするだけで割り当てが完了します。

生徒の所有物とした端末の場合

続いて、BYADで各家庭の費用負担によって購入した端末や、BYODで各家庭から持ち込んだ端末を学校の管理下にしていた場合など、端末の所有権が生徒にある場合について解説します。この場合、卒業生の端末は学校の登録を解除することで管理状態から外すことができます。また、新入生の端末は新たに登録を行うことで、学校の管理状態にすることができます。

卒業生の端末の処理

卒業生に端末を返却する際は、学校側でかけている制限などを含め、登録を解除した初期状態に戻す必要があります。
具体的な手順は以下の通りです。

  1. 管理者アカウントで「Google 管理コンソール」にログイン
  2. [デバイス] → [Chrome 管理] の順に移動
  3. [デバイス] をクリックし、再割り当てする端末のシリアル番号をクリック
  4. 左側にある [リセット] をクリック
  5. [初期状態へのリセット] をクリックして完了

参考: デバイスを別のユーザーに再割り当てする | Chrome Enterprise and Education ヘルプ

新入生の端末登録

新入生が Chromebook を購入する際は、「エンロール」という作業によって Chromebook を学校の管理下に登録することが一般的です。ただし、エンロール作業を行うためには、Chrome Education Upgrade という 管理用ライセンスの購入が必要です。そのため、Chromebook や Chrome Education Upgrade の販売店や導入業者が納品前にエンロール作業を実施する場合が多くなっています。
※エンロール作業の対応可否や費用は販売店や導入業者によって異なります。

進級に伴う Chromebook の情報更新

Chromebook を「1年生」「2年生」といった組織に分けて管理している場合は、学年の繰り上がりに伴って組織を移動させる必要があります。ただし、「2019年度入学」などと入学年度で組織分けをしている場合や、組織分け自体を行っていない場合は、進級に伴う情報の更新は不要です。
端末の組織移動が必要な場合、具体的な手順は以下の通りです。

  1. Google 管理コンソール にログイン
  2. [デバイス] → [Chrome 管理] の順に移動
  3. 画面左の欄から、「1年生」「2年生」など、現在 Chromebook 端末が所属している組織をクリック
  4. 移動する端末の横にあるチェックボックスをオン
    ※今回の例のように学年で分けている場合は、一括でオンにしてしまって結構です。
  5. 上部にある [移動アイコン] をクリック
  6. 端末を移動させる新しい組織(「3年生」など)を選択し、[移動] をクリック

参考: Chrome デバイスを組織部門に移動する | Google Workspace 管理者 ヘルプ

Google Workspace アカウントの年度更新の工数を大きく削減するツール『eG Class』

以上で見てきたように、Google Workspace や Chromebook の年度更新は多くの工程が必要で、非常に負担の大きい作業です。しかし、Google for Education の管理機能を拡張するために作られたアドオンソフト「eG Class(イージークラス)」を使えば、そのように煩雑な年度更新作業を、効率的かつ簡単に行うことができるようになります。

eG Class なら1つのインポートファイルで年度更新作業を完結

eG Class には「年次更新機能」が付いており、従来までは煩雑な作業の積み重ねが必要だった工程を1つのインポートファイルに集約、簡単な操作で年度更新作業を完結させることができます。具体的には以下の作業を行うことが可能です。

  • 年度の繰り上げや所属組織の変更
  • 停止、削除などのアカウントの状態変更
  • 新規ユーザーアカウントの作成
  • Classroom の担任引き継ぎ

参考:eG Class – Google for Education の管理をもっと簡単に!

Google for Education の機能を拡張、教育現場でさらに使いやすく

eG Class の導入で効率化するのは、年度更新だけではありません。教育機関での1人1アカウント利用時の課題を解決するため、通常はできないメーリングリストの作成など、さまざまな業務を効率化する機能が備わっています。
クラウド型のツールなので、導入にあたって特別な機器などは一切不要です。Google アカウントでログイン可能なので、既に Google Workspace を運用中でも簡単に導入ができます。
ミカサ商事では、今までに400校以上の学校様や地方自治体様へ Chromebook や Google Workspace の導入支援実績がございます。eG Class、Google Workspace の導入や年度更新での対応に関する疑問など是非お問い合わせください。

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