MEXCBTと学習eポータルとは?文部科学省が推進する両システムを詳しくご紹介

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GIGAスクール構想の下で1人1台の学習端末整備が進んできた中、かねてより文部科学省が実証実験を重ねてきたオンライン学習システム「MEXCBT(メクビット)」が、本格的に導入され始めます。しかし、「MEXCBT」および関連システムの「学習eポータル」について、まだ詳細を知らない方も多いのではないでしょうか。
そこで今回は、文部科学省が推進する新システムであるMEXCBTと学習eポータルの特徴や、両者の違いについて詳しく紹介していきます。

MEXCBT(メクビット)とは?

MEXCBT(メクビット)とは、文部科学省が開発したオンラインの学習システムのことです。GIGAスクール構想の推進によって1人1台端末が実現した後、従来の紙媒体とは異なるデジタルならではの学びを実現させるため、2020年にプロトタイプが発表され、その後2021年11月から全国の一部小中高校で活用がスタートしています。
MEXCBTは希望する小中高校ならどこでも、無償で利用することが可能です。一部の学級・授業・教科だけといった利用も可能なので、幅広い用途での学習効率化が望めます。

参考: 文部科学省CBTシステム(MEXCBT:メクビット)の活用に関する説明会 | 文部科学省

家庭と学校のどちらからでもアクセスが可能

MEXCBTはオンライン上にあるシステムであるため、インターネット環境さえあれば、どこからでもアクセスが可能です。そのため、GIGAスクール構想用の端末があれば、生徒が学校にいるときはもちろん、家庭にいるときでも学習やアセスメント(測定)に取り組むことが可能となります。

MEXCBT = MEXT + CBT

「MEXCBT」という名称は、MEXTとCBTを繋げることで生まれた名称です。それぞれの意味は以下の通りです。

MEXTとは?

MEXTというのは文部科学省のことをさします。文部科学省の英語名称が”Ministry of Education, Culture, Sports, Science and Technology”であり、それらの頭文字を繋げたMECSST(メクスト)の発音をもとに名づけられました。

CBTとは?

CBTというのは”Computer Based Testing”の略称で、コンピュータを用いて試験を行うシステムのことです。従来の紙媒体の試験形式であるPBT(Paper Based Testing)と比べて、実施から通知までのすべての工程がインターネット上で完結されるため、主催者と受験者双方の負担が軽減されるとして、各種検定試験や企業の採用試験を中心に近年注目されています。また、コンピュータを利用することで、紙媒体では不可能な動画や音声を利用した問題の作成も可能となり、試験形式の幅が広がることも期待されています。

↓CBTについては、こちらの記事でさらに詳しく解説しています。↓

【学校向け】CBTとは?IBTとの違いを含めて特徴やメリットについて解説 – 教育機関向けGoogle for Education 情報発信サイト

インターネット環境が発達した現在、従来の紙による試験でなく、コンピュータを用いた試験が増えています。しかし、コンピュータ試験には「CBT」「IBT」といった表記が見られ、それぞれの違いがわからずにいる方も多いのではないでしょうか。そこで今回は、近年注目されるコンピュータ試験であるCBTの特徴やメリット、IBTとの違いなどについて詳細に説明していきます。

MEXCBTという名前には、文部科学省が自ら作り上げたCBTシステムであるという自負と権威性の高さが窺われます。この先ICT教育が進むことで他のCBTシステムが台頭してくることも考えられますが、それでもMEXCBTが今後のGIGAスクール構想の主軸となることは間違いないでしょう。

国や地方自治体の作成した問題で学習できる

MEXCBTはインターネット上に国や地方自治体などの公的機関が作成した問題を格納しており、生徒はそれらを用いて学習を行うことが可能です。
国が作成した問題については、2020年のプロトタイプ版の時点で約2,000問あり、児童生徒向けの解説も含めて、現在も順次拡充が行われています(2021年度終わり時点で約2万〜3万問程度の見込み)。
また、地方自治体の作成した問題については、現在下記のものが掲載されており、今後も順次追加される見込みです。

  • 岩手県作成「岩手県学習定着度状況調査」「岩手県中学1年生英語確認調査」
  • 千葉県作成「ちばっ子チャレンジ100」「ちばのやる気学習ガイド」
  • さいたま市作成「基礎学力定着プログラム」など。
  • 幸手市作成「パワーアップシート及び確認テスト」
  • 山口県作成「やまぐち学習支援プログラム」

参照: 文部科学省CBTシステム(MEXCBT:メクビット)について | 文部科学省

自動採点で、即時に結果が分かる

MEXCBTでは4択などの選択式問題、回答が完全一致かどうかを見る短答式問題の場合は、自動採点で回答後すぐに結果を見ることができます。何問中何問正解かといった自分の学習結果が確認できるのはもちろん、クラス内の他の生徒の学習結果もあわせて確認することが可能です。
ただし、それらの結果を確認するためには、MEXCBTと紐付けられた別システム「学習eポータル」が必要です。学習eポータルについては、以下で詳しく解説していきます。

学習eポータルとは?

「学習eポータル」とは、オンライン上における学習の窓口機能を持ったソフト、別の表現をすればプラットフォームです。
わかりにくい場合は、身近な例として電車のプラットフォーム(駅のホーム)を想像してみてください。私たちが移動するためには電車が必要ですが、走っている電車にそのまま乗り込むことはできません。電車に乗車するためには、駅のホームを経由する必要があります。
MEXCBTの役割がここでいう電車だとすれば、学習eポータルの役割は駅のホームに相当します。

学習eポータルでMEXCBTの内容をわかりやすく分類・可視化

MEXCBTには数多くの問題に加え、それぞれの正答率をはじめとした学習結果が蓄積されていきます。しかし、そこに含まれるデータは膨大であり、MEXCBTだけではそれらの情報を整理・分類することができません。
そこで必要となるのが学習eポータルです。学習eポータルを活用すれば、MEXCBTに蓄積されたデータを必要に応じて整理し、わかりやすく画面上に表示させることができます。情報において中身はもちろん大切ですが、それを可視化する外身もまた大切です。
情報整理の点でたとえを挙げると、MEXCBTが問題を印刷したプリントの束、学習eポータルがそれらをまとめる書架やファイルといったイメージです。情報が詰まったプリントといえど、そのまま積み上げているだけでは宝の持ち腐れです。適切に分類することではじめて、役立つ情報として利用することができるようになります。

複数の学習ツールを紐づけできるプラットフォーム

学習eポータルを使うことで、MEXCBTだけでなくデジタル教科書やその他のデジタル教材をあわせて利用することが可能となります。一度のログインで複数サービスの紐付けができる「シングルサインオン」を採用しているため、学習eポータルにログインするだけで、その他すべてのサービスにアクセスすることができます。
先ほどの電車のたとえで言えば、学習eポータルは「MEXCBT線」「デジタル教科書線」「その他デジタル教材線」などといった複数の路線が乗り入れるターミナル駅のようなイメージです。1つの改札を入れば、どの路線に繋がるホームにも等しくアクセスができます。
現在、デジタル教科書やデジタル教材の数はまだそれほど多くありません。しかし、GIGAスクール構想が推進されていくことで、今後その数は確実に増えていくでしょう。その際、それぞれを別個に扱っていたのでは非効率的なので、シングルサインオンで一括りに扱うことのできる学習eポータルの存在がさらに重要なものとなっていきます。

学習eポータルの種類

学習eポータルの種類は、2022年5月時点では以下の4種類がリリースされています。

学習eポータル提供会社
L-GATE株式会社内田洋行
OPEN PLATFORM FOR EDUCATION(OPE)日本電気株式会社
まなびポケットエヌ・ティ・ティ・コミュニケーションズ株式会社
STUDYPLUS FOR SCHOOLスタディプラス株式会社

現状でこそ上記4種類ですが、提供を検討している企業もあり、文部科学省の公式資料でも今後さらに増えていくとアナウンスがされています。

参考: 文部科学省CBTシステム(MEXCBT:メクビット)について | 文部科学省

※上記4社提供の学習eポータルの他、文部科学省がMEXCBT開発委託をしている「オンライン学習推進コンソーシアム」が提供する実証用学習eポータル(無償)を利用することも可能です。ただし、こちらの場合はシングルサインオンができず、MEXCBTへの接続のみという限定的な機能となります。

参考: MEXCBT・学習 e ポータル関係FAQ | 文部科学省

学習eポータルは無料なのか

MEXCBT自体が無料で提供されていることから、学習eポータルも無料であると思われやすいですが、一部機能は有料なので注意が必要です。
機能の無料・有料の区分は提供各社で異なるので、詳細はそれぞれの学習eポータルの公式ページをご確認ください。
ただ、全社共通で注意したいのは、デジタル教科書との「連携」が無料だとしても、デジタル教科書自体は有料という点です。学習eポータルが提供するのは、デジタル教科書をはじめとする各教材を紐付けする機能であり、教材そのものは含みません。

※もちろん、国から無償でデジタル教科書が配布されている場合は、デジタル教科書の閲覧も無料となります。

↓デジタル教科書の無料配布についてはこちらの記事をご覧ください。↓

デジタル教科書は無料?有料?国による無料配布の詳細などを詳しくご紹介 – 教育機関向けGoogle for Education 情報発信サイト

GIGAスクール構想に伴って1人1台の端末整備がある程度整ってきた現在、そこで使われるデジタル教科書の存在に注目が集まっています。しかし、導入するにあたってデジタル教科書が無料なのか有料なのか、その費用の詳細が気になる方も多いのではないでしょうか。 今回の記事では、デジタル教科書の導入に必要な費用から、国から発表された「デジタル教科書の無償配布」の詳細についてまでを詳しく確認していきます。

GIGAスクール構想の実現には、MEXCBTと学習eポータルが不可欠

GIGAスクール構想の推進に伴い、1人1台端末の導入が進んでいます。端末導入によるツールのデジタル化が済んだら、次にすべきはそこで扱うコンテンツのデジタル化。そのためには、文部科学省の開発したオンライン学習システム「MEXCBT」と、その情報を可視化してその他のデジタル教科書、デジタル教材と紐付けるプラットフォームである「学習eポータル」が必要不可欠です。
MEXCBTの利用自体は無料ですが、学習eポータルは提供会社ごとに特徴や費用が異なるので、それぞれを比較したうえでメリットの大きいものを選ぶことが大切です。
今回の記事内容を参考のうえ、貴校に最適な学習eポータルを導入していただければ幸いです。

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