【学校向け】CBTとは?IBTとの違いを含めて特徴やメリットについて解説

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インターネット環境が発達した現在、従来の紙による試験でなく、コンピュータを用いた試験が増えています。中には会場に行く必要の無い試験もあり、コロナウイルス対策の影響で外出が憚られる現代において、新たな試験形式として学校での注目も高まっています。
しかし、コンピュータ試験には「CBT」「IBT」といった表記が見られ、それぞれの違いがわからずにいる方も多いのではないでしょうか。
そこで今回は、近年注目されるコンピュータ試験であるCBTの特徴やメリット、IBTとの違いなどについて詳細に説明していきます。

CBT試験とは?

CBT試験とは、”Computer Based Testing”の各単語の頭文字を取った略称であり、日本語に訳せば「コンピュータに基づいた試験方法」といった意味になります。
パソコンやタブレットを用いて試験を行うことができるため、ICT化が進む現代社会との相性が良く、新しい試験形式として注目を集めています。

CBTの特徴、紙の試験と比べたメリットとは?

CBT試験に対して、従来の紙を用いた試験形式のことを”Paper Based Testing”の略称からPBTと呼びます。CBT試験は、従来型のPBTと比較して、以下のように多くのメリットを持っています。

試験にマルチメディアデータを活用可能

CBTでは文章や写真、図表などに加えて、音声や映像などのマルチメディアを試験に利用することができます。これにより、従来のPBTでは難しかった発話による回答(外国語の発音など)や、静止画では説明の難しい内容についての映像による出題など、幅広い出題形式を取り入れた試験を行うことが可能となります。

全工程がインターネット上で完結

CBTは、試験の実施から結果の通知まで、一連の工程をすべてインターネット上で行うことができます。そのため、試験用紙の配布や回収といった紙媒体特有の業務や、集計したり結果を通知したりといった周辺業務に関して人手を割く必要がなくなり、試験を行うために必要な労力を大幅に削減することが可能となります。

問題のパターンを変更可能

紙媒体であるPBTの場合、回答者1人ひとりに合わせて問題を変えるというのは難しく、同じ内容の問題を大量に印刷して試験を実施するのが一般的です。その点CBTの場合は、問題の順番をシャッフルしたり出題内容を受験者ごとに変更したりといった設定が可能なため、カンニング対策や受験者の習熟度ごとの問題変更などを容易に行うことができます。

CBTが導入されている具体例

上述のようにCBTの実施には多くのメリットがあるため、民間試験団体や各種検定試験、一部の学校教育での入学者選抜や学力調査など、幅広い用途で導入が進められています。

※以下表は文部科学省が公開する資料から一部を抜粋したもの

用途試験名称内容
学校教育において利用入学者選抜GTEC CBT英語能力を測定
学力調査TEAP CBT英語能力を測定
専門教育において利用医学・私学共用試験CBT診療参加型臨床実習に参加するための知識を問う
薬学共用試験CBT同上
獣医学共用試験CBT同上
その他資格試験等で利用
(代表的なもののみ掲載)
ITパスポート試験ITに関する知識を問う
SPI3などの就職時の適正テスト試験性格の特徴や価値観、就職先への適性などを測定
漢検CBT漢字能力を測定する技能検定
英検CBT英語能力を測定

参照: 国内外のCBT普及状況 ― 厚生労働省医道審議会医師分科会配布資料 | 厚生労働省

学校の試験でも今後CBTが増えていく?

一昨年に文部科学省が発表した資料に、以下のような説明が記載されています。

② 全国的な学力調査のCBT化の検討
• 全国学力・学習状況調査のCBT化について専門的・技術的な観点から検討を行う
とともに,小規模から試行・検証に取り組み,段階的に規模・内容を拡張・充実
(中略)
⑤ デジタル教科書・教材の普及促進
• 学習者用デジタル教科書の効果・影響について検証しつつ,使用の基準や教材との
連携等も含め,学びの充実の観点から今後の在り方等について検討
• 令和6年度の小学校用教科書改訂までの間においても、学習者用デジタル教科書・
教材の学校現場における使用が着実に進むよう普及促進を図る

引用: 6. 遠隔・オンライン教育を含むICTを活用した学びの在り方について | 「令和の日本型学校教育」の構築を目指して(中間まとめ)【概要】| 文部科学省

⑤で言及されている「デジタル教科書・教材の普及」については、令和4年現在、GIGAスクール構想用の端末整備が各学校で進んでおり、政府によるデジタル教科書の無償配布が
始まったことからも、予定通りに進んでいるといって良いでしょう。事実、文部科学省の開発したCBTシステムである「MEXCBT(メクビット)」も、デジタル教科書の配布に合わせて導入が進められています。

MEXCBTについて、詳しくは以下の記事をご参照ください。↓

MEXCBTと学習eポータルとは?文部科学省が推進する両システムを詳しくご紹介 – 教育機関向けGoogle for Education 情報発信サイト

GIGAスクール構想の下で1人1台の学習端末整備が進んできた中、オンライン学習システム「MEXCBT(メクビット)」が、本格的に導入され始めます。しかし、「MEXCBT」および関連システムの「学習eポータル」について、まだ詳細を知らない方も多いのではないでしょうか。そこで今回は、文部科学省が推進する新システムであるMEXCBTと学習eポータルの特徴や、両者の違いについて詳しく紹介していきます。

そうなると、②で提言されている「全国的な学力調査のCBT化」もかなり現実味を帯びてきており、今後学校の試験でのCBT利用が広く普及していくことが予想されます。
また、具体的な導入時期については未定であるものの、大学入試共通テストにおいてもCBTを活用した試験運用が検討段階に入っています。その結果、今後さまざまな大学入試でCBT形式が採用される可能性も高く、そこに至る過程である小中高の学習でもCBTの比重が高まっていくことでしょう。

参考: 大学入学者選抜におけるCBT活用の可能性について(報告)| 独立行政法人 大学入試センター

CBTとIBTの違いとは?

IBTとは”Internet Based Testing”の頭文字を取った略称で、インターネット上で受ける試験のことを指します。
CBTの場合は試験の主催者側が用意したコンピュータ端末で受験するため、試験会場(テストセンター)に受験者が赴くのが一般的です。その一方、IBTの場合は主催者のサイトにアクセスするだけで受験ができるため、オンライン環境さえあれば自宅や学校、会社など、受験者の都合に合わせた場所から受験をすることが可能です。別の名称でWBT(Web Based Testing)というのもありますが、実質はIBTと同じものを指すと考えて差し支えありません。

CBTとIBTそれぞれのメリット・デメリット

試験会場で行うCBT試験と任意の場所からオンライン上で行うIBT試験、これらにはそれぞれメリットとデメリットが併存しています。
とはいえ、その1つひとつを挙げていくと煩雑なので、以下表に各観点における両者の比較をまとめました。

試験の性質CBT, IBTの比較概要
利便性CBT < IBT受験者にとっては、CBTが試験会場に行く手間と時間が必要なのに対し、IBTは任意の場所、任意のデバイスで受験することができます。
また、主催者側にとってもCBTは会場の規模によって受験可能人数に制限を設ける必要があるのに対し、IBTは基本的に無制限での受験が可能です。
厳密性CBT > IBT会場試験であるCBTは試験監督による監視が可能な一方、IBTは自由な場所から受けることができるため、カンニングなどの不正行為が発生しやすくなります。
平等性CBT < IBT会場試験であるCBTは受験票などで本人確認ができる一方、IBTではできず、替え玉受験の危険性が高まります。
また、IBTは使用するデバイスや環境によって受験者間の条件差が生じやすく、会場型のCBTと比べると公平性が下がる傾向にあります。

最近ではCBT≒IBTになりつつある

CBT試験には30年以上の歴史があり、導入当初はインターネット環境が未発達であったため、各コンピュータに内蔵された問題を用いて試験を行っていました。その後、インターネット環境を利用したテストをIBTと呼んで住み分けが生まれましたが、現在ではインターネット接続のされていないコンピュータ機器の方が少数派となり、CBTとIBTの違いが曖昧なものとなってきています。
その結果、現在ではIBTも含めてCBTと呼称することが増えてきており、本来の定義から言えばIBTに近いはずである先述のMEXCBTも、MEXT(文部科学省の英名)とCBTを繋げた造語が名称として採用されています。
このように、近年ではCBT≒IBTとなり、コンピュータを用いて行う試験はすべてCBTと呼ぶ傾向が強くなっているため、試験として導入する際は詳細をしっかり確認することが重要です。

CBTは新しい試験のかたち。学校教育にも積極的に採用しよう

コンピュータを用いて行う試験形式であるCBTは、従来の紙ベースの試験(PBT)に代わる新たな試験形式として、さまざまな分野で注目を集めています。
それは学校教育の現場においても例外ではなく、文部科学省の描くビジョンの中には学力調査等のCBT化が含まれ、入試などでも今後数多くCBTが導入されることが予想されます。
無理にすべてを切り替える必要はありませんが、新しい時代に合わせて学校教育の現場でも少しずつCBTを採用していくことが、今後求められる姿勢です。
今回の記事を参考に、貴校に合ったかたちでの積極的なCBT導入を進めていきましょう。

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