連載コラム 進化を続けるICT利活用の成功校 田園調布学園の実際 -ICT教育の取り組み- Chromebook の活用 

第1回
はじめまして(学園情報・担当者について)

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はじめまして。田園調布学園中等部・高等部でICT教育推進部長をしております、村山達哉と申します。この度は連載コラムの機会を頂き、Chromebook 一人一台環境5年目(2022年度現在)を迎えた本校が、現在に至るまで、校内でICT教育の推進・波及・運用をどのように行ってきたかについて、導入・検討時から現在まで二人三脚で管理・運用を行っている同部署の小杉 政史とともに、これまでの取り組みや苦労話、時には本音を交えながら本校のICT教育に関する取り組みの実際についてご紹介が出来ればと思っています。


「ICTの運用」や「ルール」などについては、その学校ごとの実情(生徒・教員・学習環境など)に応じて大きく異なることと思います。そのため、本連載で紹介する事例については、あくまで「とある学校の一事例」としてご覧いただき、少しでも校内のICT教育の推進や運用にお困りの方の一助になりましたら幸いです。早速ですが、第一回目のコラムでは、学園・著者についての紹介をさせて頂きます。

村山 達哉

村山 達哉(むらやま たつや)

田園調布学園中等部・高等部
ICT教育推進部長・情報科教諭

小杉 政史

小杉 政史(こすぎ まさふみ)

田園調布学園中等部・高等部
ICT教育推進部・事務

田園調布学園中等部・高等部について

本校は、東京都世田谷区にあります中高一貫の女子校で、1926年の創立以来、自分の人生を切り拓く人格の根っこを育てる教育活動に努めています。建学の精神「捨我精進」(自分本位の我を捨て目標に向かって努力し続けること他人よかれと行動すること)をもとに、卒業時には次のような人になるよう、6年間を通じて育てています。(以下、ディプロマポリシー)

 
  • 自己を深くみつめてより高い目標を定め、学び続けることができる人
  • 自己の役割を自覚し、他者と協同しながら、その責任を果たそうと主体的に行動できる人
  • 広い視野を持ち、よりよい社会の実現に向けて常に探求し実践できる人
 

これらの建学の精神やポリシーを軸に、「協同探求型授業」「教科横断型授業」「土曜プログラム」、その他行事や部活動などを通して、多くの「体験」をしながら、自分らしい豊かな人生を歩める人へと導いていく学校です。中等部と高等部を合わせて約1,200名の生徒が在籍しています。

 
田園調布学園の校舎

施設設備・環境について

校舎は、地上5階、地下2階建ての本校舎と、地上2階建ての第二校舎で構成されています。アクセスポイントは、全教室において、同時接続数100台以上の性能を備えるものを設置しており、校内の全域で生徒全員がストレスなく同時に使用できる環境を実現しています。 また、全教室に電子黒板プロジェクター・スクリーン・授業配信用のカメラを整備することで、場所にとらわれずICTを利用することが可能となっています。

田園調布学園のラウンジラウンジで Chromebook を使って学習する田園調布学園の生徒たち

校内での管理・運用について

本校では、ICT関連業務を6名の教職員で構成される「ICT教育推進部」という部署で行っています。 Chromebook・Google Workspace の管理運用については、本コラムを担当します、村山と小杉の2名体制で行っています。
学校によって、管理・運用の在り方は様々かと思いますが、本校の場合は、「教員」と「事務」という両輪での運用を行っていたからこそ、ここまで頑張ってくることができたといっても過言ではありません。 「教員」と「事務」が連携することの利点は、いくつも挙げられますが、これについてはコラムを通して別の機会にお話できればと思います。業務が忙しいピークには、お互いに仕事役割を横断することもありますが、通常時では、主に次のような役割分担(上から仕事割合の多い順)で業務を行っています。実際には、ICTに関連する仕事は、山ほどありますが、ここでは Google Workspace・Chromebook に関連する業務に絞って記載しています。

Google Workspace に関連する業務の分担(上から多い順)

村山(教員の立場)

  • 教員からの授業に関するツールの活用法相談
  • 生徒からの使い方・トラブル相談
  • 生徒からの故障相談・故障機預かり・代替機貸出
  • 管理コンソールの設定・運用、アプリの検証、業者対応など

小杉(事務の立場)

  • 業者対応窓口
  • 生徒からの故障相談・故障機預かり・代替機貸出
  • 教員からの校務に関するツールの利用法相談
  • 管理コンソールの設定・運用

ICT教育推進部という立場で意識していること

‐村山

小学校から大学へとつながる体系的なICT・情報教育の実践。そのために、生徒には中等教育段階で多くの「体験」を通して、「問題解決・自己表現のツールとして、ICT機器を利活用できるようになって欲しい」と考えています。ここ最近は、「『生徒の学習活動』におけるICTの利活用」について、校内の教職員に向けて働きかけ・推進・情報発信を行っています。

‐小杉

せっかくご家庭で端末を購入して頂くからには学校生活を便利に、より豊かにするようなツールであってほしいと思っています。そのためにも、新しく校内に何かを導入する際には、全員に満足して使ってもらえるような分かりやすさ・使いやすさとメンテナンス性の高さなどは必須であると考えています。ICT機器や端末等は使いたいと思えなければ意味がないと思いますので、教職員を含めた学園の全員が利用できるよう、校内への働きかけや計画を練っています。


初回のコラムは、この辺りにしまして、次回の連載記事では「Chromebookを導入するまで・Chromebook を選択した理由」についてお話しします。最後までお読み頂き、ありがとうございました。(村山)

プロフィール

村山 達哉

村山 達哉(むらやま たつや)

田園調布学園中等部・高等部/ICT教育推進部長・情報科教諭

高等部1・2年の情報科の授業を担当。校内ではICT教育推進部の部長として校内のICT環境整備やICT教育の推進を担当。2017年度に Google for Education を校内に導入、2018年度には中等部2年~高等部1年の3学年を対象に Chromebook を一人一台一斉導入。現在では中等部1年~高等部3年までの全校生徒が一人一台 Chromebook を所持。一人一台環境4年目となる2021年度より高等部生以上でBYOD(端末の自由化)を実施。
教員免許は情報科・技術科・商業科を所持。「情報」や「探究」の教材で執筆協力にも携わっている。

小杉 政史

小杉 政史(こすぎ まさふみ)

田園調布学園中等部・高等部/ICT教育推進部・事務

2010年10月より勤務。機械工学科出身という事もあり、校内の機器運用を中心に業務を行っている。2017年度からICT教育推進部のメンバーである。
「分かりやすくシンプルに」をモットーに機器やマニュアルなどの運用・設計を行う。