【学校向け比較あり】どちらを採用する? Chromebook と iPad の違いや特徴を事例から学ぶ

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GIGAスクール構想における小中学校での学習者用端末整備では、Google が開発したノートPCである「Chromebook」がトップシェアとなりました。この記事では、学校で Chromebook の導入や他の端末からの切り替えを検討する際に気になる、iPad(タブレット)との違い/比較や、Chromebook が採用される理由について、学校様にお伺いした事例をもとに解説していきます。

目次

【本編の前に】無料で配布中の関連資料

「iPad 採用校が知りたかった『Chromebook に変えたらどうなるの?』徹底解説 Book」

iPad 採用校が知りたかった「Chromebook に変えたらどうなるの?」徹底解説 Book

読むだけで OS 切り替え後の変化が分かる解説 Book

iPad 利用中の学校様からよくお伺いするお悩み「キーボード付きの端末に移行したいが、Chromebook についてよくわからない」、「Chromebook が良いと聞くが実際なにがどう変わるのかわからない」といったお声にお答えする解説資料を作成いたしました。

iPad 利用中の学校様だけでなく、他の OS と迷われている学校様にもおすすめです。実際に iPad との比較の上で Chromebook を採用された学校様の事例も掲載しております。この記事よりもさらに具体的かつ情報量が多い内容となっておりますので、ぜひご活用ください。

この資料でわかること

  • iPad から Chromebook に切り替えると何が変わるのかわかる!
  • Chromebook の特徴が具体的にわかる!
  • 教育者の目線から Chromebook を選ぶ理由がわかる!
  • Chromebook に切り替えた学校の例がわかる!

学習者用端末としての Chromebook の特徴

Chromebook は、近年、教育機関での学習者用端末としての採用率が非常に高まっているノートパソコンです。Chromebook の特徴を簡単にまとめると、以下の通りです。

  • 本体価格が低く、運用コストも抑えられる
  • 直感的に操作できる
  • 動作が速い、軽い
  • セキュリティ性能が高い
  • キーボード標準搭載

それぞれの特徴についてより詳しくお知りになりたい場合は、下記のページも参考になさってください。

Chromebook が低コストで導入・運用できるのはなぜですか? – 学校向けChromebook 導入の手引き

これまで Chromebook を導入してきた学校様での検討事項や、ミカサ商事にご相談いただいた事項をまとめました。 国内初の教育機関向け Chromebook 販売店であるミカサ商事が、導入ご担当者様の「そこが知りたい!」にお答えします。

Chromebook にウイルス対策は必要か?GIGAスクール機器としての安全性、セキュリティについて徹底解説

GIGAスクール機器として注目を集めている Chromebook ですが、そのセキュリティ面が気になる方も多いのではないでしょうか。Chromebook はウイルス対策をする必要があるのか、そもそもウイルスに感染すると何が起きるのか、今記事ではそれらについて解説を行います。

以下では、実際に教育機関で Chromebook が支持される理由について事例を元に解説していきます。

GIGAスクール構想で Chromebook が半数以上採用された理由

GIGAスクール構想での小中学校の学習者用端末整備においては、半数以上(53%)の地方自治体が Chromebook を採用しました(※)。

※2020年8月下旬の各⾃治体の公告・通達・開札情報のデータを元に行った Google による調査結果

GIGAスクール構想での小中学校での学習者用端末としてはChromeOSが最も多く採用された

引用-教育委員会向け GIGAスクール構想リサーチ2020 | Google

上記の引用元のリサーチは、GIGAスクール構想の小中学校の端末整備が行われた真っ只中に行われたものですが、2020年5月時点で ChromeOS を選定した理由については以下の通りです。

ChromeOS を採用した理由(n=231)

  • 第⼀位: トータルコストが安価(35.9%)
  • 第⼆位: 運⽤・管理が容易だと思う(29.0%)
  • 第三位: クラウド利⽤前提なので(6.5%)

 

【本題】どちらを選ぶべき?Chromebook と iPad の特徴の比較

iPad と Chromebook は特徴やコンセプトが異なるので、単純に優劣を付けることはできませんが、学習者用端末として話題に上がりやすい情報をまとめました。教育・学習面と、管理・運用面の双方から、どちらに優位性がありそうかを、実際に複数の OS の中から Chromebook を採用された学校様のお声をもとに比較していきます。
※あくまで、弊社の導入経験や学校様のお声にもとづいた独自の見解です。

教育・学習面
キーボードChromebook
アプリ利用考え方による
カメラの画質iPad
持ち運びやすさiPad
起動の速さ強いて言えば iPad
動作の軽さ/操作しやすさどちらも良い
Google Workspace for Education との親和性Chromebook
耐久性/堅牢性場合による

管理・運用面
価格の安さ場合による
ランニングコストChromebook
管理体系のシンプルさChromebook
アップデート管理Chromebook
故障時の対応Chromebook

学校で生徒が使うなら? 教育・学習面の解説

まずは教育・学習の観点から、iPad と Chromebook それぞれの特徴を比較し、どちらが優位かを考えてみます。

キーボード — Chromebook

iPadChromebook
外付けのキーボードの購入が必要。キーボード自体の価格や故障も考慮する必要がある。キーボード標準搭載。画面もタッチパネルのものが主流で、適宜タブレットとしても利用できる。

CBT試験への対応や、タイピングスキルの向上を視野に入れたキーボード入力を意識する場合は、Chromebook が優位な選択肢となります。iPad も外付けのキーボードを用意することでキーボード入力に応じた形にすることは可能です。しかしその場合は、iPad 本体に加えてキーボード自体の価格や故障についても考慮する必要性が生じてきます。

どうしても iPad でなければならない事情がある場合(校内ネットワークが整備できておらずLTEが必須である状況など)を除き、キーボード入力を意識して端末を選定される際は、キーボード標準搭載の端末を選択される学校様が多いようです。

高稜高等学校 古賀先生

キーボードが付いていて、安価なことが主な理由です。キーボードがないものは、高校生には最適な選択肢ではないということになりまして。iPad だと追加でキーボードを付けることになるので、Windows のノートパソコンか、 Chromebook の2つが候補に上がりました。

引用-【学校法人若松学園 高稜高等学校】生徒のポジティブな反応を引き出した1人1台の準備と工夫 Chromebook 導入事例|高校の GIGAスクール構想 より

続いて、学習者用端末を iPad から Chromebook に変更された学校様のご意見です。金蘭会高等学校・中学校様では、大学進学以降のことを考えキーボード付きの端末に移行されたとのことです。

金蘭会高等学校・中学校 岡田校長先生

iPad を導入した当時は、 生徒用端末として iPad を使っていることがステータスの1つだったのかもしれないですが、大学へ進学するとキーボード入力でレポートを作成しますよね。レポート作成の際に、キーボード入力ができない子が結構いるということを聞いていたので、情報の授業でもキーボード入力をきちんと教えていく必要があると考えていました。また、大学入学共通テストに「情報」という教科が加えられることも考えると、これからの時代キーボード入力ができることが当たり前になると思うのです。中学校でも大半の学校がキーボード入力を教えていて、多くの生徒がキーボード入力を身につけて入学してくるので、中学校で行えていたことが高校でもできるような環境を整えるべきだと考えました。これから生徒が社会に出たり、大学進学の際に、生徒達自身の勉学に支障がないようにキーボード付きの端末である Chromebook へ移行しました。

引用-【学校法人金蘭会学園 金蘭会高等学校・中学校】生徒の将来を見据えて選んだ Chromebook 。1人1台先進導入校が決断した端末切り替え|Chromebook 導入事例 より

同じく、iPad から Chromebook に切り替えを行った西大和学園中学校・高等学校様でも、プログラミング学習のことも視野に入れてキーボード付の端末の採用に至ったとのことです。

西大和学園中学校・高等学校 大倉先生

iPad だと外付けのキーボードをつけないといけないので、その分金額も上がりますし、外付けキーボードは打ちにくいということもあり他の OS も検討していました。他 OS への切り替えも検討していたタイミングで情報が入試になるかもしれないという話があり、プログラミングをさせるためにもキーボードが必要だという話になりました。ちょうど Chromebook が認知されるようになってきたタイミングでしたし、Chromebook であればアプリも強制インストールさせることができるなど総合的に考えて Chromebook が良いということになり、 OS を切り替えることになりました。

引用-【学校法人 西大和学園 西大和学園中学校・高等学校 】「生徒と向き合う時間を増やす」生徒の能力育成のために行われた Chromebook への切り替え – Chromebook 導入事例 より

アプリ利用-考え方による

iPadChromebook
アプリの豊富さなら iPad 。
しかしクラウド活用から遠ざかる「iOSアプリ依存」には注意が必要。
iOS アプリが利用できないので、アプリ数では iPad に軍配。
ただし、クラウド版(Web版)アプリの利用が主となり、クラウド活用がしやすいメリットがある。

単純にアプリの豊富さで比べた場合、iOSアプリの数が多いため iPadに軍配が上がります。ただし、教育や学習用のツールとして考える際に、文部科学省によって「クラウドサービスの利用を前提」とされている GIGAスクール構想では、iOS アプリ依存に陥ることの危険性も考える必要があります。

Chromebook はクラウドベースの端末ですので、教育用や学習用のアプリもクラウド版(Web版)を利用することが主になります。
企業においても教育機関においてもクラウドの利用が主流になっていく流れの中では、単純に使えるアプリの数で比較する以外に、 クラウドサービスを利用できる Chromebook を選択することも大いに合理性があります。

iPad の場合は、iOS アプリの利用が中心になりやすく、政府が指針とするクラウドサービスの活用にはハードルが高くなります。また、iOS アプリを利用することで、アプリに関するローカルデータが本体に蓄積されます。データをクラウドにバックアップするなど、クラウド前提の利用にするには工夫が必要になります。

Chromebook で使えるアプリはどのような種類があるのかについては、以下の記事で解説しております。

【学校の Chromebook 活用】使えるアプリと機能・管理方法をご紹介

学校で Chromebook を活用する際には、さまざまな機能のアプリを利用することができます。生徒の学習効率アップや協働学習の促進、教員の業務負担軽減などを目指すためにも、Chromebook で活用できるアプリの種類や機能はもちろんのこと、管理方法についても理解しておくことが重要です。ここでは Chromebook で利用できるアプリの種類をはじめ、その機能や管理方法についてご紹介していきます。

カメラの画質-iPad

iPadChromebook
写真、動画が綺麗に撮れる。画質が iPad には劣る。

写真や動画に関しては、iPad のほうが Chromebook よりも綺麗に撮れるということについては、多くの学校様からお聞きしますので、体感的にも差があるようです。

持ち運びやすさ-iPad

iPadChromebook
タブレットなので圧倒的に持ち歩きやすい。(~700g)iPad に比べて重量がある。(1.2~1.5kg程度)

軽量で持ち運びやすいという点においても、タブレットである iPad が優位といえます。ノートパソコンである Chromebook は1.2~1.5kg(機種によって異なります) の重量がありますが、iPad に関しては、12.9インチの iPad Pro(第5世代)を例にとっても 682g と軽量です。

ノートルダム女学院の野々垣先生は、Chromebook の重量やカメラの画質は iPad に劣るものの、Chromebook を採用された理由として次のようにコメントされています。

ノートルダム女学院中学高等学校 野々垣先生

正直なところ、iPad と比べると Chromebook は重く、カメラの画質も劣るのですが、やはり管理の手間を考えると Chromebook がいいなと思います。Chromebook は生徒がパスワードを忘れても、再発行も初期化も Google のアカウントからできるんです。

iPad も Chromebook もどちらにも良さがあるので、当初は2機種の導入でした。ですが、実際に使ってみると、端末管理にかかる手間において iPad と Chromebook では大きな差があったので、2021年度からは iPad を導入していたコースも全て Chromebook に変更することになりました。

引用-【ノートルダム女学院中学高等学校】iPad から Chromebook へ 〜先進導入校の主体性を引き出す端末活用〜 Chromebook 導入事例- より

起動の速さ-強いて言えば iPad

iPadChromebook
起動には約10秒かかるが電源を切ることが少なくスリープ&ロックが基本。一瞬で復帰できる。従来のノートPC(Windows OS)に比べると約8秒の高速で起動できる。
スリープ&ロックの運用も可能。

起動の速さに関して、タブレットである iPad は学校での利用であっても電源を落とすことはあまりなく、スリープ(一定時間経過後にパスコード入力必須となる)やロック(ロックボタンを押すことでパスコード入力必須となる)での運用が多くなるようです。
電源を切ってからの起動には約10秒かかりますが、共有用端末ではなく1人1台の端末として利用する場合は特に、電源を切ること自体が少ないので、iPad の場合は起動の時間は気にしなくても良さそうです。

一方、Chromebook ですが、PCながら非常に高速で起動できるという特徴があります(約8秒)。また、Chromebook でもスリープやロックの機能があり、実は管理者側での設定で「一定時間経過したらロック(再ログイン必須)させる」ということもできます。情報セキュリティの観点から、離席時にも安全が保たれるようにそのような設定を行っておけば、電源を落とさずとも運用できます。

どちらも、立ち上がりに時間がかかって学習の時間が圧迫されるということはほぼないと言っていいでしょう。

高稜高等学校 古賀先生

(Chromebookは)Windows と iPad の両方の良い点を備えていると実感しました。具体的には、Windows のようにキーボードが標準搭載されている点、iPad のようにスリープからの起動が速い点、というどちらの良さも Chromebook にはあると感じています。

引用-【学校法人若松学園 高稜高等学校】生徒のポジティブな反応を引き出した1人1台の準備と工夫 Chromebook 導入事例|高校の GIGAスクール構想 より

動作の軽さ、操作のしやすさ-どちらも良い

iPadChromebook
軽快に動作し、スマートフォンの操作に慣れていればより使いやすく感じる。従来のノートPC と異なり、スペックを抑え安価だが快適に動作する。操作は簡易で、従来のPCと大きく異なる点はない。

iPad の動作や操作性については、いうまでもなくスピーディで操作しやすく、スマートフォンの操作に慣れた方であればどなたでも抵抗なく扱えるでしょう。

Chromebook は、従来のノート PCと異なり、クラウドベースの端末であるため、低スペックでも快適に動作するという特徴があります。端末本体にインストールして動かすソフトウェアなどがなく、OS以外のものをほとんどそぎ落としたシンプルな設計なので、スペックが低くてもサクサク動くのです。

キーボードが標準搭載の端末となると、Windows OS か ChromeOS の 2択が主流になります。高稜高等学校様では、その2択で Chromebook を選んだ理由として、スピーディに使えることを挙げられています。

高稜高等学校 古賀先生

2020年の4月頃に Chromebook を個人的に購入したんです。その Chromebook を何度か学校に持ってきて、何人かの教員と感想を話していました。「Windows パソコンのような難しいこと全てはできないかもしれないけど、起動も速いし、こんなにサクサク動くならいいよね」と、2、3人の教員が購入したんです。その結果、Chromebook には Chromebook の良さがあるということを教員にも理解されたというところでしょうか。

引用-【学校法人若松学園 高稜高等学校】生徒のポジティブな反応を引き出した1人1台の準備と工夫 Chromebook 導入事例|高校の GIGAスクール構想 より

操作に関しては、Windows の PC とは違うものというイメージがあり、導入前にご心配になる場合も多くございますが、実際は非常にシンプルで使いやすく、導入後に「使いづらい」「よくわからない」というお声をいただくことはほとんどございません。また、生徒様は新しいものへの適応力が高く、いつの間にか使いこなしている、ということが多いようです。
宮崎県立日向高校の首藤先生によれば、従来のパソコンとキーボードの仕様も異なることや、Google ドキュメントなどを使いこなせるかが心配だったが、すぐに解決したとのことです。

宮崎県立日向高等学校 首藤先生

キーボードの見た目の違いについて、不安を感じていました。一般的な PC には 「 Shift 」や「 Tab 」などキーボードに表示がありますが、 Chromebook には そのような表示はありません。見た目が違うため慣れるのかどうか心配でしたが、すぐに慣れて何も問題なく使えています。あとは、 Excel や Word が Chromebook でも使えるのかということと、 Google スプレッドシート や Google ドキュメントなどを、Excel や Word と同じように使いこなせるのかを懸念していました。ですが、スプレッドシートやドキュメントにも Excel や Word と同じ機能があるということを先生方に理解していただけたので、すぐに解決しました。もし導入端末を iPad にしていたら、上手くできていなかったのではないかと思います。 Excel や Word は iPad で操作すると、デザインや文字が崩れたり、思うように動作しないことなどがあると聞いたので、Chromebook にして良かったと思っています。

引用-【宮崎県立日向高等学校】 生徒・教員の自主性を重視し、わずかな期間で Chromebook 活用を広めた県立高校の工夫 – Chromebook 導入事例 より

Google Workspace for Education との親和性-Chromebook

iPadChromebook
Google Workspace は iOS アプリ版の利用となり、使えない機能がある。Google Workspace のブラウザ版のフル機能を利用できるほか、管理面でもメリットがある。

Chromebook の採用を検討する理由の1つとしても挙がりやすいのが「Google Workspace for Education との親和性」です。そもそも Chromebook は Google アカウント(学校で契約する Google Workspace for Education のアカウント)が利用の中心となり、2つをセットで利用することで、以下のようなメリットが生まれます。

  • Google Workspace の管理コンソールで、アカウントと端末を一括で管理できる
  • Google アカウントで Chromebook にログインすれば、自分の Google Workspace 環境がすぐに立ち上がる
  • スマホやタブレット用のアプリ版ではなく、ブラウザ版の Google Workspace の機能をフルで使える

Google Workspace for Education 自体は、 アカウントさえあればどのような端末でも利用できますので、iPad で Google Workspace for Education を活用されている学校様も多くいらっしゃいます。ただし、Google ドキュメント、Google スプレッドシートなど Google Workspace for Education に含まれるツールを利用する際に、iPad では iOS アプリ版となるので、ブラウザ版に比べて、使える機能や操作に制限が生じてきます。

西大和学園中学校・高等学校 大倉先生

iPad で Google Chrome を 見るのと、Chromebook で見るのは操作性が違いますよね。 iPad では少し扱いにくいと感じます。私は iPad も Chromebook も両方使用していますが、 Googleドキュメントや Google スプレッドシート、Google スライドなどを iPad で作成するのは少し大変ですね。

引用-【学校法人 西大和学園 西大和学園中学校・高等学校 】「生徒と向き合う時間を増やす」生徒の能力育成のために行われた Chromebook への切り替え – Chromebook 導入事例 より

他にも、Chromebook と Google Workspace for Education の組み合わせには、上述のように、管理を一元化できたり、アカウント1つで児童生徒本人がいつも使っている環境を復元できたりという恩恵があります。

耐久性/堅牢性-場合による

iPadChromebook
軽量で持ち運びやすい半面、落下による画面割れなど、事故による破損が発生しやすい。堅牢性が高く、重量もあるため事故による破損は抑えられる可能性が高い。
本体の安定性に関しては利用環境によっても異なる。

「iPad と Chromebook 、どちらが故障件数が少なくなるか」という観点では、単純な比較が難しい側面があります。iPad は軽量で持ち運びやすい半面、画面割れなどの事故による破損が多く発生するという経験談をよくお聞きします。Chromebook は、ほとんど全てのメーカーの機種が、米軍で用いられる厳格な基準(いわゆる「MILスペック」)を満たしたものとなっていますので、落下や水濡れなどには強いです。

西大和学園中学校・高等学校 大倉先生

(iPad に関して)破損が多いことも課題として感じていました。生徒はとにかく iPad を落とすんです。ケースをつけていましたがあまり意味がなく、落として画面を破損させることが圧倒的に多かったですね。
故障のたびに修理 手続きや保険などの申請をしていたので、業務負担が増え、かなり大変でした。あとは修理期間中に代替機がないことが一番苦しかったですね。(修理期間中は)端末なしで授業を行っていました。もし端末を貸すことになったとしても、 iPad だと自分が普段使っている端末と同じ環境を作れないですよね。Chromebook だと自分のアカウントでログインすれば自分の環境で 作業できますが、iPad ではできないので、修理が終わるまで待つしかないという状態でした。

引用-【学校法人 西大和学園 西大和学園中学校・高等学校 】「生徒と向き合う時間を増やす」生徒の能力育成のために行われた Chromebook への切り替え – Chromebook 導入事例 より

ただ、本体の安定性という側面でいうと、iPad と Chromebook どちらにもいえることですが、使っているうちに部品の摩耗による不具合が生じたりすることも考えられ、 利用環境によってもその発生件数が異なってきます。

金蘭会高等学校・中学校の 岡田先生からは、iPad から Chromebook に切り替えた後、故障に関するトラブルについて特段の問題は感じていないというご報告をいただいております。

金蘭会高等学校・中学校 岡田校長先生

iPad で機器の故障というのはほとんどなかったですね。故障内容として一番多いのは画面割れなのですが、修理の間は業者さんに予備機を数台用意していただき、それを代替機として生徒に渡していました。 Chromebook はどの程度壊れるのかわからないままの導入だったのですが、どうしても iPad に比べると部品が多いのでキーボードなど物理的な故障は今後も出るんだろうなとは思っています。しかし、初期不良を除いてはそれほど手間もかかりませんし、修理交換後すぐに返ってきます。ですので、特段の問題は感じていません。

引用-【学校法人金蘭会学園 金蘭会高等学校・中学校】生徒の将来を見据えて選んだ Chromebook 。1人1台先進導入校が決断した端末切り替え|Chromebook 導入事例 より

円滑に運用できるのは? 管理・運用面での解説

一人一台の生徒用端末の管理負担を抑えたいなら Chromebook

続いて、管理面での解説です。Chromebook が教育機関に採用される理由として「圧倒的に管理が楽」という特徴がありますので、ほとんどその詳細の解説になってしまうのですが、具体的にどう楽なのかを紐解いていきます。

価格の安さ-場合によるが Chromebook という意見が多い

購入費用を抑えることを重要視した場合、価格が安い Chromebook が選ばれやすいようです。

宮崎県立日向高等学校 首藤先生

一番の理由は価格です。3OS の中で ChromeOS (Chromebook )が一番手頃な価格でした。端末の重さなどはあまり気にせず、出来るだけ価格を抑えられる端末を検討していました。 Chromebook について調べていくうちに、 Google Workspace との親和性や、様々なアプリケーションに Google アカウントでログインできることなどを知り、 Chromebook が良いだろうということになりました。

引用-【宮崎県立日向高等学校】 生徒・教員の自主性を重視し、わずかな期間で Chromebook 活用を広めた県立高校の工夫 – Chromebook 導入事例 より

iPad から Chromebook に切り替えを行った学校様でも、価格差が明確に感じられたとのお声がございました。

西大和学園中学校・高等学校 大倉先生

iPad の価格が非常に高かったことが理由です。保証なども含めて 8 、9 万円程(※1)だったと記憶しています。 Chromebook だと保証を含めても 5 、6 万円(※2)ぐらいですよね。

※1,2 購入時期、入手経路、調達台数、機種、保証の内容などによって価格は異なって参ります。本事例における学校様のご感触としての価格となりますことをご承知いただけますと幸いです。

引用-【学校法人 西大和学園 西大和学園中学校・高等学校 】「生徒と向き合う時間を増やす」生徒の能力育成のために行われた Chromebook への切り替え – Chromebook 導入事例 より

ただし、本体の他に購入するものや、導入する機種、時期によって価格は異なりますので、参考程度にお考えいただけますと幸いです。実際に、以下の項目ではランニングコストについて解説しますが、金蘭会高等学校・中学校様では、本体に関わる価格は iPad と Chromebook であまり変わらなかった(が、ランニングコストで差がついた)というご報告をいただいております。

管理のランニングコスト-Chromebook

iPadChromebook
年度末の端末の初期化、アカウント管理、アップデート管理、データの管理など、管理作業の外注費用が発生しやすい。他のOSに比べて管理運用にかかるランニングコストが57%削減できるという調査結果がある。

IDC による調査によれば、Chromebook(ChromeOS)を学校で採用した場合、他の OS を採用した場合に比べて年間のランニングコストを57%削減できるという結果が示されています。本体価格の安さも注目されやすい Chromebook ですが、管理にかかる負担が抑えられる分、作業の委託費用や、管理者の拘束時間という点で見ても、コストを削減できます。

金蘭会高等学校・中学校 積川先生

導入時の端末本体に関わる価格は、iPad も Chromebook もあまり変わらなかったのですが、端末以外にかかる費用の3年間のトータルを考えると Chromebook のほうが費用を抑えることができました。(端末以外にかかる費用というのは)iPad の管理に関する費用です。MDM の年間ライセンス料が負担に感じたことと、初期設定に関する費用は見積もりに含まれていましたが、卒業時に必要な作業(iTunes でのリカバリー)を把握していなかったために、結果的には、卒業前の限られた時間の中で教員が対応する事になってしまいました。

引用-【学校法人金蘭会学園 金蘭会高等学校・中学校】生徒の将来を見据えて選んだ Chromebook 。1人1台先進導入校が決断した端末切り替え|Chromebook 導入事例 より

ノートルダム女学院中学高等学校 野々垣先生

Chromebook だと端末管理においての手間が少ないということも理由です。端末の設定を変更したい場合、Chromebook はクラウド上で操作するだけで適切な設定を施すことができます。端末が生徒の家にある状態でも設定変更ができるので、非常に便利だと感じました。iPad の場合、端末をパソコンに繋いで初期化したうえで、適切な設定を施す必要があります。iPad は一度生徒の端末を預かる必要があるので、その必要がない Chromebook とは管理の楽さが大きく違いますね。

引用-【ノートルダム女学院中学高等学校】iPad から Chromebook へ 〜先進導入校の主体性を引き出す端末活用〜 Chromebook 導入事例- より

なぜランニングコストを抑えやすいのかというと、Chromebook を管理する際に使うツール「Google 管理コンソール」が非常に使いやすく優秀であることや、管理の一元化がしやすいことが挙げられます。
具体的にどのような違いがでてくるのかについては、次以降の項目で解説します。

管理体系のシンプルさ-Chromebook

iPadChromebook
Google Workspace を利用している場合、最低でも「管理コンソール」「端末管理用MDM」「Apple School Manager」の3重管理が必要になる。アカウントと端末の両方を Google で一元的に管理できる。

金蘭会高等学校・中学校 積川先生

iPad の管理には Apple School Manager と MDM を使っているのですが、アプリの配布など、一つの処理を行うのに、Apple School Manager と MDM で2回設定が必要なので、そこが手間だと感じています。Chromebook は管理コンソールで1回で設定できるので、非常にありがたいですし、楽になったなと思っています。

引用-【学校法人金蘭会学園 金蘭会高等学校・中学校】生徒の将来を見据えて選んだ Chromebook 。1人1台先進導入校が決断した端末切り替え|Chromebook 導入事例 より

Chromebook を採用するメリットとなるのが、1人1台の端末やアカウント利用時における、管理体系に関する悩みをなくせることです。

例えば iPad と Google Workspace for Education の組み合わせで使っている場合、最低でも

  • Apple School Manager
  • Google 管理コンソール
  • 端末(iPad 自体)の管理用のツール(MDM)

の3重管理が必要になります。

Chromebook の場合は、上記を Google 管理コンソール1つにまとめられるので管理が非常にシンプルになります。また、昨今は学習系のサービスや授業支援ツールなどのアカウントも Google アカウントとのシングルサインオンに対応しているものが多くなっているので、生徒が関与する面でもアカウントが乱立せずに済みます。

アップデート管理-Chromebook

iPadChromebook
OSのアップデート、アプリのアップデートの両方の管理が必要。Chromebook に比べるとネットワークへの負荷も高い。OSアップデートの容量が小さく、自動で行われるので、アップデートの管理が不要。

OSやアプリのアップデートの管理は、Chromebook であればほとんどの場合、管理者側も生徒側も何も意識する必要がありません。ChromeOS は4週間に1度自動でアップデートされ、いつでも最新の状態に保たれるので、セキュリティの面でも安心です。「生徒側も」意識する必要がないというのは、アップデートはバックグラウンドで行われ、アップデート中も通常通り使えるためです。

iPad の場合はアップデート中は使用できないので、管理者側で事前の配信計画が必要です。また、OS のほかに 各種 iOS アプリのアップデート管理も必要になります。アプリが 最新の OS に対応するまでに時間がかかるので、あえて OS を古いバージョンで止めておかざるを得ないことがあるのも、よくお聞きするお困りごとです。

アップデート自体のサイズも、

  • iPad OS のメジャーアップデート:約3GB
  • ChromeOS のフルアップデート:約400MB

と、桁違いに ChromeOS のほうが小さく、ネットワーク帯域への負荷も抑えられるようになっています。

金蘭会高等学校・中学校 積川先生

アプリのアップデートにおいて、iPad でよく起こるのは iOS のアップデートにアプリが対応していないということですね。管理画面から信号を送っていてもうまく反映されていないということがよく起こっていました。その状況で、端末の初期化をしてしまうと、たまに動かないアプリが出てくるんです。同じことが Windows PC でも起こっているのですが、Chromebook の場合はクラウドサービスを中心に利用しているので、アプリと OS のアップデートの不具合が比較的起こりにくいのかなと感じています。

引用-【学校法人金蘭会学園 金蘭会高等学校・中学校】生徒の将来を見据えて選んだ Chromebook 。1人1台先進導入校が決断した端末切り替え|Chromebook 導入事例 より

故障時の対応-Chromebook

iPadChromebook
修理中の代替品へのデータ移行や、修理後の再設定に時間がかかり手間になりやすい。Google アカウントでログインすれば環境がすぐに復元できるなどの理由で、故障時の作業が少なく手間になりにくい。

1人1台の学習者用端末となると、児童生徒が日常的に使うものですので、落下などが原因で故障が発生する時の対応についても考慮する必要があります。

そして、故障した際の対応の楽さでいいますと、 Chromebook には大きな優位性があります。iPad の場合は、代替品にローカルデータやアプリのデータを移行したり、修理が終わった後に OSやアプリを再インストールしたりする作業に時間がとられます。 Chromebook は、Google Workspace のアカウントでログインするだけで、普段使っている生徒自身の環境が立ち上がるので、修理中の代替品をそのまますぐに使うことができます。

西大和学園中学校・高等学校 大倉先生

端末故障時、 Chromebook は代替機を貸し出すだけで済むというのは iPad との違いとして感じています。 Chromebook の場合、ログインすれば自分の端末と同じ環境が出来上がるので、貸出用の端末を渡すだけで、生徒は通常通り使えるんです。 iPad の場合、データをローカルに保存していることが多かったので、 Chromebook のように端末を貸し出すだけでは上手くいかなかったと思います。

引用-【学校法人 西大和学園 西大和学園中学校・高等学校 】「生徒と向き合う時間を増やす」生徒の能力育成のために行われた Chromebook への切り替え – Chromebook 導入事例 より

その他、Chromebook とiPad の違いについてのご意見

ここまで、一般的に比較の観点となりやすい事項について、学校様のお声をもとに読み解いていきました。
その他に、学校様からお聞きしたご意見についても参考に掲載いたします。

クラウドベースの端末、共有のしやすさ

冒頭の、GIGAスクール構想で自治体が Chromebook を採用した理由として、「クラウド利用前提」というものが第三位に挙がっていました。実際に学校でもクラウドベースの恩恵を感じられている具体例をご紹介します。

ノートルダム女学院中学高等学校 野々垣先生

クラウドベースであることを挙げた理由としては、共有で使用する際の利便性の問題です。iPad は共有で使用するには非常に使いにくいと感じました。iPad の場合、アカウントの切り替えに手間がかかるのですが、Chromebook だとログイン画面から簡単にアカウントの切り替えができて、すぐに自分の環境で作業することができますよね。また、iPad で写真を撮るとその端末にしか保存されないので、貸出用の iPad を使用しても自分の端末で撮った写真は見れないんです。ですが、Chromebook だと基本的には端末に保存することがないので、自分のアカウントさえあればどの端末を使用しても写真を確認することができます。iPad でも設定すればクラウドに保存することは可能なのですが、その設定が私達は上手くできなかったんです。ですので、複雑な設定を行わなくても簡単に端末を共有できる Chromebook は非常に便利だと感じました。Chromebook は共有用端末を使用しても、すぐに自分の環境で作業することができるので、「宿題をしたが学校へ持ってくることを忘れた」と言う生徒はかなり減りました。データは全てクラウド上にあるので、生徒は宿題を提出できない言い訳ができなくなりましたね。

引用-【ノートルダム女学院中学高等学校】iPad から Chromebook へ 〜先進導入校の主体性を引き出す端末活用〜 Chromebook 導入事例- より

Chromebook だと生徒が端末で遊ばない!?

意外と多かったのが、タブレットではなくノートPC型の Chromebook を採用することで、「生徒に学習用のものという意識が根付いた」というご意見です。

金蘭会高等学校・中学校 積川先生

iPad を使用していた時は「画面が大きいスマートフォン」のような感覚で使っていた生徒が多かったように感じています。校内では個人所有の携帯電話・スマートフォンの使用を禁止していますが、iPad は手軽に写真撮影ができ、いつでも Wi-Fi につながって、インターネットの利用ができるので、本来の目的以外で使用したり、生徒間でのトラブルになったこともありました。Chromebook に変えてからは使用の仕方について指導することが減ったように思います。

引用-【学校法人金蘭会学園 金蘭会高等学校・中学校】生徒の将来を見据えて選んだ Chromebook 。1人1台先進導入校が決断した端末切り替え Chromebook 導入事例 より

ノートルダム女学院中学高等学校 野々垣先生

Chromebook だと「勉強のために使うもの」ということを見た目から理解してもらえることが大きな理由ですね。普段スマートフォンでゲームをしている生徒が iPad を使用すると、スマートフォンを使用するのと同じ感覚で遊んでしまうと思います。「iPad は勉強のためだけに使いなさい」と教員がどれだけ言っても、生徒は端末で遊んでしまうと思うので、見た目から「勉強に使うもの」とわかる端末が良いと思いました。

引用-【ノートルダム女学院中学高等学校】iPad から Chromebook へ 〜先進導入校の主体性を引き出す端末活用〜 Chromebook 導入事例- より

Chromebook を採用するべき学校とはどんな学校か

ここまで、学習者用端末としての iPad と Chromebook の特徴について解説してきました。
学習者用端末として Chromebook の採用が有効なのは、特に以下の場合かと思われます。

  • Google Workspace for Education を最大限に活用したい
  • キーボード入力を重視したい
  • 管理コストを削減したい

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