今回は、保護者の方への説明から実際に端末が納品されて生徒の手元に届くまでを振り返りたいと思います。前回のコラムでは、生徒が一人一台端末を所持するまでの間に行ったことについてお話ししました。実はその間、保護者の方に向けて直接、端末導入についてご説明する機会を設けることができておらず、説明会を実施できたのは、導入の約3か月前(年が明けた1月)のことでした…。実際、保護者の方にお伝え出来る機会は保護者会などの日に限られていた、ということもありますが、学校としては、ある程度校内で Google サービスを活用し、端末導入に関する検証を行った上で、「教員自身が学園生活で端末をどのように活用できるか、ある程度イメージを持ってからお伝えしたい」という思いもあり、結果的にはそのようなタイミングとなってしまいました。
これらの説明を実施した際に、保護者の方からいくつか問い合わせがありました。以下に紹介します。
【端末ケースを用意してほしい(多数)】
当初は、学校として指定のケースなど考えておらず、各ご家庭でご用意いただければよいと思っておりました。しかし、「どのようなケースを購入してよいのか自信が無いため、学校から案内をしてほしい」というご意見が想定よりも多くあったため、本校の鞄を制作している会社の協力の元、学校でオリジナルのケースを制作することにしました。
中等部生で背丈の低い生徒が、初期モデルを手にすると、ケースが床についてしまうこともあり、2代目のモデルは横型のモデルに改良の上、チャックやポケットも装備しました。
【なぜ事実上の標準であるWindowsではなく、Chromebook?】
やはり当時は、Chromebook についての認知度が今よりも低く、社会一般的にはWindowsが主流、デザイン系やコンテンツ制作などはMacbook(?)という認識が今以上に強い状況でしたので、保護者の方からそのようなご意見が出るのももっともです。当時から端末を一括管理する方法としてMDMなどはありましたが、Chromebook の管理コンソールのほうが、校務を日々行っている教職員でも遠隔操作が容易であり、端末の価格も Chromebook であれば比較的に抑えることができる、直感的に操作ができるため、PCスタイルの端末に慣れていなくても比較的取り扱いしやすい、などの理由を個別にご説明しました。
約670台の端末が箱に入って届くため、正門から校内に運び入れ、教室に仮置きした段階でかなりのボリュームでした。あの時には施錠できる部屋としてPC教室を仮置き場にしましたが、デスクを全て埋め尽くす程の量で、圧巻でした。
今回のコラムの内容は、今から約5年も前(2018年)のことで、頭の記憶も少しずつ薄れてきてはいましたが、当時の写真や映像を頼りに、二人で保護者への説明・Chromebook 納品・生徒配付の場面を振り返ってみました。本校では、初年度に3学年を対象に一斉導入したため、端末の台数も多く、準備や作業どれ一つとっても何かと大変で、当時はかなり必死だったように思います。とはいえ、文章にもあります通り、運用を始めると複数学年が所持しているからこそのメリットをたくさん感じることが出来たので、今振り返ってみても、「複数学年に一斉導入したことにより学校全体として良いスタートが切れた」ように感じています。
今回もここまでご覧くださり、どうもありがとうございました。また次のコラムも宜しくお願いします。
保護者説明について
説明会でご家庭にお話ししたこと
説明会でどのような内容についてお話ししたか、以下にタイトルをまとめます。- 端末利用の目的
- 時代の変化に呼応した教育活動
- ICT活用の現状(全教室電子黒板、校内貸出用iPad、ロイロノートの利用)
- なぜ一人一台か?
- 大学入試も変化(当時はeポートフォリオが世間を騒がせていた)
- 具体的に何をするか事例(1) 理科の実習での利用
- 具体的に何をするか事例(2) 自己評価・相互評価での利用
- 生徒の振り返りの記述量の変化(増加)
- 価格・保証等 端末について
- ネット環境調査のお願い
これらの説明を実施した際に、保護者の方からいくつか問い合わせがありました。以下に紹介します。
【端末ケースを用意してほしい(多数)】
当初は、学校として指定のケースなど考えておらず、各ご家庭でご用意いただければよいと思っておりました。しかし、「どのようなケースを購入してよいのか自信が無いため、学校から案内をしてほしい」というご意見が想定よりも多くあったため、本校の鞄を制作している会社の協力の元、学校でオリジナルのケースを制作することにしました。
写真(左)初期モデル、写真(右)2代目のモデル
中等部生で背丈の低い生徒が、初期モデルを手にすると、ケースが床についてしまうこともあり、2代目のモデルは横型のモデルに改良の上、チャックやポケットも装備しました。
【なぜ事実上の標準であるWindowsではなく、Chromebook?】
やはり当時は、Chromebook についての認知度が今よりも低く、社会一般的にはWindowsが主流、デザイン系やコンテンツ制作などはMacbook(?)という認識が今以上に強い状況でしたので、保護者の方からそのようなご意見が出るのももっともです。当時から端末を一括管理する方法としてMDMなどはありましたが、Chromebook の管理コンソールのほうが、校務を日々行っている教職員でも遠隔操作が容易であり、端末の価格も Chromebook であれば比較的に抑えることができる、直感的に操作ができるため、PCスタイルの端末に慣れていなくても比較的取り扱いしやすい、などの理由を個別にご説明しました。
Chromebook の納品について
想像以上に大きなトラックがやってきた
春休みに入り、ついに生徒端末の納品日を迎えました。初年度は3学年一斉導入という形を取ったため、端末の台数が多いことから、搬入時には中型ウイング車で納品されました。当時は、校内に導入する端末台数を少しずつスモールステップで、増やしていく学校も多い中、本校が3学年一斉導入に踏み切った背景としては、授業以外の場面においても大いに活用をしてほしいという思いからでした。クラブ活動や委員会活動等の場面で、生徒自身で積極的に活用してもらいたいため、1学年のみの導入では(「あの学年は端末を持っていないから紙を用意して…」といった具合に)活用の幅が広がらないと考えました。導入台数(端末を持っている学年)が増えれば、必然的に端末トラブルや生徒対応の件数も増えますが、結果的には当初の思惑通り複数学年が端末を持っているからこそ、活用の幅が広がっている機会を多く見ることが出来ました。Chromebook を載せたトラックから荷卸しをしている様子
約670台の端末が箱に入って届くため、正門から校内に運び入れ、教室に仮置きした段階でかなりのボリュームでした。あの時には施錠できる部屋としてPC教室を仮置き場にしましたが、デスクを全て埋め尽くす程の量で、圧巻でした。
納品完了。ネットワークに接続済ですぐに使えるはずが…(670台接続し直し)
当初の予定では、搬入した端末は、生徒に配付しやすいように学年・クラス・出席番号順に並び替えて・・・という作業だけで済むはずでしたが、ここで大きなトラブルが発覚しました。なんと、本校に設定されているWi-FiのSSIDと、Chromebook に設定した自動接続するWi-FiのSSIDが異なっていたのです。これを解決する唯一の方法は Chromebook を起動させネットワーク設定を手動で入力するしかありません。新年度早々、人海戦術で1台ずつ汚さないように「開梱、設定をし、元通りに梱包をする」、という作業を部署のメンバーで手分けして行いました。全台数の作業を終えるまでには3日ほどかかりました。これらの端末を一時保管していたPC教室は、ガラス張りのため、廊下から教室内が良くわかります。あまりの段ボールの多さに、通りがかった生徒も(Chromebook が配付されない学年にもかかわらず)我々の作業の様子を見かねて、段ボールの開梱・処分を一緒に手伝ってくれました…。(泣)写真(左)お手伝いをしてくれている生徒の様子、写真(右)chromebook 山のPC教室内
保険について
次は、端末に付与する延長保証についてです。前述の通り、校内では一人一台環境に向けて準備が進んでいたものの、保護者の方への説明は、結果的に端末導入の直前になってしまいました。我々が案内を検討していた延長保証は3年間、物損・盗難・水没付の延長保証であったため、金額も決して安い物ではありません。直前の案内であったため、端末代+延長保証の代金を案内するということについて抵抗のあるご家庭も少なからずいるであろうという見通しもあり、本校では、端末の延長保証については希望制という形を取りました。導入後のシミュレーションとして、端末の故障相談は学校の担当者(小杉)を経由して保証会社へ連絡する流れを想定していました。延長保証の加入は希望制にしていたため、端末が故障した際には、延長保証の加入有無を確認する必要があります。端末にはアセットIDを記入したテプラを貼っているのですが、本校の場合には、延長保証に加入している端末のアセットID末尾に「*」を入れることで、延長保証の加入有無をすぐに判別できるようにしました。実際、初年度は1〜2割程度のご家庭が延長保証未加入であったため、この判別方法は非常に役立ちました。生徒への端末配付
いよいよ生徒へ端末を配付する日がやってきました。他の校内行事との兼ね合いもあり、限られた時間の中での配付・説明となりました。配付にあたっては、3学年分一斉に行わず、時間をずらして1学年(約200名強)毎に配付説明を行いました。PC教室(3階)に保管されている端末を説明会の会場となる講堂(地下2階)まで部署のメンバーで運び、講堂の入口にて学籍番号と端末のアセットIDを照合の上、生徒へ端末を配付しました。説明会の場では、端末の機能などあまり詳細な説明は行わず、端末の説明・ガイドラインの説明程度に留め、あとは授業などの「学園生活の場面に応じて、使いながら慣れていってもらう」という形を取りました。会場である講堂のアクセスポイントの性能が1学年(200台程度)に耐えられる状況ではなかった事や、納品直後でバッテリー残量が少ない端末があった事なども考えると、実際に端末を操作してもらうような説明を省いたことは、説明会の進行上、良かったかもしれません。写真(左)Chromebook の配付・写真(右)説明会の様子
今回のコラムの内容は、今から約5年も前(2018年)のことで、頭の記憶も少しずつ薄れてきてはいましたが、当時の写真や映像を頼りに、二人で保護者への説明・Chromebook 納品・生徒配付の場面を振り返ってみました。本校では、初年度に3学年を対象に一斉導入したため、端末の台数も多く、準備や作業どれ一つとっても何かと大変で、当時はかなり必死だったように思います。とはいえ、文章にもあります通り、運用を始めると複数学年が所持しているからこそのメリットをたくさん感じることが出来たので、今振り返ってみても、「複数学年に一斉導入したことにより学校全体として良いスタートが切れた」ように感じています。
今回もここまでご覧くださり、どうもありがとうございました。また次のコラムも宜しくお願いします。