連載コラム 進化を続けるICT利活用の成功校 田園調布学園の実際 -ICT教育の取り組み- Chromebook の活用 

第12回
「中等部・高等部における ICTの活用 ~行事(文化祭①)編~

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第1回はこちら

皆さまこんにちは、村山です。
今回もコラムをご覧くださり、どうもありがとうございます。

前回までのコラムは、3回にわたり「小学校における Chromebook の活用」について、大田区立調布大塚小学校の玉野校長先生とのインタビュー形式でご紹介しましたが、今回からは中等部・高等部における Chromebook(ICT)の活用事例を少しずつご紹介したいと思います。

ここ最近では、ICT活用事例集などの書籍も多く出版されておりますが、本コラムでは、一学校が具体的にどのような場面で活用をしているのか、現場の様子を一事例としてお伝えできればと思っております。「こんな工夫をしている学校があるのだな」と参考程度にお読みいただければ幸いです。

ちょうど、文化祭や学園祭のシーズンを迎えましたが、生徒たちは、文化祭の出し物を準備・制作する過程で、ICT機器を様々な場面で活用していることと思います。今回のコラムでは、本校の文化祭で実施された生徒発案による活用例として、次回と合わせて2つご紹介します。

【事例1】 お会計(レジ)の変化

~「手書きで記録」から「Chromebook でレジアプリの活用」そして「キャッシュレス決済」へ~

コラムをお読みいただいている皆様の学校では、金銭の授受が発生する企画やイベントは、どのように運用されていらっしゃいますでしょうか。本校では7~8年ほど前まで、物品販売を行う際、現金を受け渡ししたら適宜紙に記録をしていました。

文化祭「なでしこ祭」でのお会計の様子

文化祭「なでしこ祭」でのお会計の様子(2017年)

その後、本校では2018年に一人一台端末を導入したわけですが、その年の秋に開催した文化祭では、生徒から「レジアプリをインストールできるようにしてほしい」との要望があり、個人端末にレジアプリを導入、実運用を行いました。

これまでは販売個数や売上金額を手で計算して、手書きで記録していたところから、各自がICT機器を自由に使用してデジタル上で記録ができるようになったことで、金銭授受や商品の在庫管理などが確実にかつ簡単に行えるようになりました。

レジアプリを利用したお会計の様子

レジアプリを利用したお会計の様子(2018年)

その後COVID-19の感染拡大に伴い、2020年の文化祭からは、「(感染を防ぐ観点から)現金を直接受け渡しせずに済むようキャッシュレス決済を導入したい」という文化祭実行委員生徒からの要望があり(これには直接的に Chromebook は関与しませんが)、その年の文化祭から支払い方法が「現金」から「キャッシュレス決済」へと変わりました。

キャッシュレス決済端末を利用したお会計の様子

キャッシュレス決済端末を利用したお会計の様子(2020年)

情報の教科を担当している身としては、このような実体験を通じて、生徒が単なる利用者としてではなく、キャッシュレス決済の運用や裏側の仕組みまで学ぶことができる良い機会だと感じています。

下の写真は、2024年の文化祭での様子ですが、生徒たちはキャッシュレスで会計する運用にもだいぶ慣れてきたようで、お客さんへの対応も街中の店員さん並みに、スムーズなものでした。

文化祭「なでしこ祭」でのお会計の様子(2017年)

文化祭「なでしこ祭」でのお会計の様子(2024年)

本校では、Chromebook のAndroidアプリについて、生徒や教員から要望があった場合、ICT教育推進部内で確認の上、学園生活をより豊かにするものに関しては、随時許可を出してインストールができるようにしています。

今では本校の文化祭での会計といえば、キャッシュレス決済が当たり前となり、レジアプリを使っていた時代が懐かしく感じます。「レジアプリを入れてほしい」と生徒から要望があったのは、端末を導入した初年度のことで、授業での利用に留まらず、学校行事においても Chromebook の活用を生徒自身が積極的に提案してくれたこと、当時嬉しかったことを思い出しました。

Chromebook の導入によって学校行事においても変化をもたらし、生徒たちに新たな学びの場が生まれた一場面のご紹介でした。

今回も最後までコラムをご覧くださりありがとうございました。また次回のコラムでもよろしくお願いいたします。
次回も引き続き、文化祭における生徒発案によって生まれた事例をご紹介します。